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1年後めどに汎用衛星帯電解析ソフトを発売  MUSCATスペース・エンジニアリング    年商3,000万円へ


 宇宙関連技術開発のMUSCATスペース・エンジニアリング株式会社(北九州市戸畑区仙水町、八田真児社長)は、1年後をめどに、宇宙空間で人工衛星にどのような電気的負荷がかかるかを予測する解析ソフトウェアの製品化と販売開始を予定している。
 同社は九州工業大学発のベンチャー企業。宇宙空間は真空と考えられているが、衛星軌道上には電気を良く通す空間(プラズマ環境)があり、「人工衛星にとっては、海水に精密電気機器を投入するような過酷な環境」で、機器に重大な障害を起こす事例が多数報告されているという。従来は、障害が起きない程度の電力で運用され、帯電解析には80年代にアメリカで開発されたソフトウェアが利用されていたが、高機能を要する宇宙開発の現状に対応するため、04年から宇宙航空研究開発機構(JAXA)が九州工業大学と共同して汎用衛星帯電解析ソフトウェア「MUSCAT」の開発に着手していた。開発は今年3月に終了し、MUSCATは現在JAXAで試用されているが、継続的に機能拡張等を担当すると同時に国内の宇宙関連企業にMUSCATを販売する目的で、開発スタッフとしてプロジェクトに参加していた九工大研究員の八田社長と金正浩さん(同社取締役)が大学発ベンチャーとして会社を設立した。販売はJAXAでの試用にめどがついてから開始する予定で、八田社長は「1年後をめどにMUSCATの製品販売化を計画している。今期の年商見込みは、他の宇宙関連技術開発受託で約1,000万円を見込むが、MUSCATの販売がスタートする来期は3,000万円を目標に置く」と話している。今後は、MUSCATを販売するとともに、開発で培った技術を他に転用しての新たな製品開発なども視野に含め、事業を拡張する計画だ。
 同社は06年9月設立、資本金は250万円、従業員数は3人、07年6月期の売上高は30万円。
 八田社長は69年7月9日生まれの38歳、田川郡大任町出身、千葉大学機械工学部卒業後、九州大学大学院航空宇宙工学専攻修了。