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JAXAと共創に向けた覚書を締結 QPS研究所


準リアルタイムデータ提供実現へ

小型人工衛星の研究開発を手掛ける㈱QPS研究所(福岡市中央区天神1丁目、大西俊輔社長)は2月26日、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(=JAXA)と共創に向けた覚書「JAXA宇宙イノベーション パートナーシップ」を締結した。
同社は現在、「SAR」(合成開口レーダー)によって昼夜・天候を問わず衛星から地球上の画像を撮ることができる小型の「SAR衛星」を36機打ち上げるプロジェクトを実施。災害や交通渋滞、事故など、防災、ビジネス面でより有効な情報共有が可能となる準リアルタイム観測の実現に向けた取り組みを進めている。昨年12月にはインドの宇宙センターから小型SAR衛星初号機「イザナギ」の打ち上げに成功した。
しかし、今後宇宙でのミッションを安定的に行うためのさまざまな課題がある中で、宇宙空間に放出されたイザナギの状態を確認することを目的にJAXAと共同研究契約締結が実現。JAXAはさらなるサポートとして、JAXAとSAR開発業のアルウェットテクノロジー㈱(東京都、能美 仁社長)が共同開発した画像圧縮技術装置をQPSが今後打ち上げる衛星に搭載し、観測後地上局にデータを伝送するまでの待ち時間に軌道上で画像処理を実施することで、ユーザーへのデータ提供に要する時間短縮が可能になるという。
大西社長は「2015年の構想から始まったプロジェクトが実現に向け着々と進み、JAXAと共創で宇宙からスピーディーに情報を得られるようになることが期待され、ユーザー側のビジネス活用としても幅が広がる」と話している。
同社は2005年6月に九州大学発ベンチャーとして設立。小型SAR衛星36機の打ち上げ実現を目指し、これまで総額24億5000万円の資金調達を実施。衛星開発には約20社の九州内地場企業によって構成された「北部九州宇宙クラスター」も協力している。

2020年3月10日発行