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ILC候補地、東北の北上山地で一本化  ILC立地評価会議    研究者チームで決定


 次世代加速器、国際リニアコライダー(略称ILC)の建設を推進する研究者チームによる組織、ILC立地評価会議は8月23日、国内の建設候補地を東北の北上山地(岩手・宮城県)に一本化したと発表した。これまで、国内候補地として、福岡・佐賀の背振山系と同地域で立地を検討してきた。
 ILCは素粒子の大型実験施設として、日本での建設が有力と見られている計画で、これまで評価会議や国内候補地の産学官を中心に誘致活動が展開されてきた。今回の検討は大きく分けて、建設コストや技術的な課題などを評価する「技術評価」と、都市機能や社会基盤などの「社会環境」の両面から進められた。背振山系側は充実した交通アクセスや周辺都市機能などの利点を強調してきた一方、北上山地は震災復興への足がかりにしたいという意思を前面に出してきた。その結果、評価鍵では社会環境には大きな差がないと判断。一方の技術評価面では、断層の存在やコスト、工期などの面で北上山地が背振を大きく上回ったという。
 今回の評価会議の決定を踏まえ、政府や文部科学省が最終的な判断を下す。8月12日には国内研究の方針を定める日本学術会議が、多額の建設費などを理由に「誘致は時期尚早」とコメントするなど、国内への誘致そのものが不透明な段階。福岡県のILC班は、「国内への誘致が不透明な段階でこうした発表が出されて、非常に困惑している。まだ国の最終判断が下されたわけではないので、引き続き誘致活動を続けていきたい」と話している。