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EVスクーターのシェアリングサービスを開始 新出光


週刊経済2022年11月15日発行

福岡市内8カ所に専用ポート設置

石油製品販売大手の㈱新出光(福岡市博多区上呉服町、出光泰典社長兼グループCEO)は11月1日、福岡市内8カ所の専用ポート(貸出・返却できる駐輪場所)に車両計24台を設置し、EV(電動)スクーターバイクのシェアリングサービス事業「ラクすく」を開始した。
同サービスは環境負荷が低いEVスクーターを1分単位で借りられ、専用ポートでの乗り捨てが可能な新しいモビリティシェアリングサービス。同社では「移動手段の多様化と利便性向上、新たな観光モビリティの提供、低炭素型交通網の構築」などを目指して事業化に着手。昨年度「福岡市実証実験フルサポート事業」に採択され、福岡市のサポートを受けて実証実験を重ねていた。主に2~10㎞の中長距離移動の手段として、福岡市内の大学に通う学生や20~40歳代の男性ビジネスマン、公共交通機関で旅行に来た観光客、デリバリーフードの配達員、ビジネス移動を必要とする法人企業の需要を見込み、今年度内にポート15カ所・車両40台にそれぞれ増やす。さらに2025年にポート100カ所以上・車両280台体制とする当初計画を前倒しで達成し、24時間いつでもどこでもライドシェアできるサービスの早期構築を目指す。
料金体系は1分12円の従量課金プランと、利用開始時点から24時間使い放題の1DAYプラン2200円の2種類。今回のポート設置場所は、商業施設のBiVi天神やマリノアシティ福岡、福岡市営渡船旅客待合所(志賀島・西戸崎)、コメダ珈琲店博多駅東店やバジェット・レンタカー天神北店、㈱イデックスリテール福岡のセルフ別府202SSとセルフ福岡ドーム前SS(共に出光マークのSS)。使用するEVスクーターは中国ニウ・テクノロジーズ社の「niu UQi Sport」で、定格主力が500kW、航続可能距離が42㎞、充電時間が5時間のスペック。会員対象は満18歳以上で日本の運転免許証所有者(高校生は利用不可)。利用にはLINEで事前に公式アカウントを登録し、運転免許証やクレジットカードの登録が必要となる。利用する15分前から予約が可能。運営時間は午前8時~午後8時。時間外は車両の貸し出し・返却をできないが、来年4月をめどに24時間運営に移行する予定。
同社では今年度から始動した3カ年の新中期経営計画で、石油、自動車、電力、オフィス、食と暮らし、不動産の6事業それぞれの成長を図っている。特に成長戦略を加速する自動車事業では、今年4月に新規事業創出を推進する専門部署「MFI推進室」を設置。脱炭素の流れが加速する中、2040年にはSSでの燃料販売が7割減少するという前提のもと、それでもSSがインフラとして成り立つべく自動車事業の裾野拡大を図っている。