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3学府連携で「数学モデリング人材」育成の新学府 九州大学


週刊経済2022年1月12日発行

社会人として後期進学の新制度も

九州大学(福岡市西区元岡、石橋達朗総長)は12月16日、来春から大学院に、数学と統計学を用いて社会課題を解決する「卓越した数学モデリング人材」を育成する「マス・フォア・イノベーション連携学府」を開設する。
既存の数理学府、システム情報科学府、経済学府が連携して構成する同大学初の「研究科等連係課程実施基本組織」で、幅広い分野でイノベーションを創発できる人材の育成を目指す。学部の垣根を超えたラボでの共同研究や国内外へのインターンシップなどのカリキュラムを特徴とし、講演、ポスター発表、交流会の定期開催や、年1回のスタディグループ(合宿)などの研究者間の交流事業を予定する。さらに、毎年54万円の授業料支援、博士課程後期を対象とした120万円~180万円の教育研究支援経費などの経済的支援も設定。博士前期課程修了後、企業に採用されると同時に社会人として博士後期課程へ進学できる「卓越社会人博士課程制度」も国内で初めて導入。すでに富士通研究所が制度への協力を表明しており、毎年1~2人の制度適用を目指す。
石橋総長は同日の会見で「これまでの九大には学部間の横の連携が不足していた。11月の『国立指定大学法人』指定を契機に、総合大学の強みを生かした『総合知』を駆使した研究・教育を充実させていく」との方針を示しており、3学府が連携する新学府についても「博士課程離れが進む現状に、さまざまな新たな試みで一石を投じることができれば」と期待を寄せた。