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24年度から運営体制を一新 フクオカ・グロース・ネクスト


週刊経済2023年12月12日発行号

春に施設リニューアル

旧大名小学校跡地の官民共働型スタートアップ支援施設・Fukuoka Growth Next(フクオカ・グロース・ネクスト、福岡市中央区大名2丁目)は、2024年度から運営体制を変更し、新たな支援施策の展開を開始する。
福岡市の「福岡市スタートアップ支援施設運営事業」提案公募で、福岡地所㈱(福岡市博多区住吉1丁目、榎本一郎社長)、さくらインターネット㈱(大阪市北区梅田1丁目、田中邦裕社長)、GMOペパボ㈱(東京都渋谷区桜丘町、佐藤健太郎社長)、フォースタートアップス㈱(東京都港区六本木、志水雄一郎社長)4社の共同事業者が採択された。福岡地所、さくらインターネット、GMOペパボの3社は現在も運営事業者となっており、次年度からの3期(24~28年度まで)も引き続き運営に携わる。フォースタートアップスは国内VCとの連携による起業支援や、組織構築を含めた人材支援などを手掛けており、FGNの運営に参画するにあたって、正社員1人を配属。加えて、専門役員の鈴木聡子氏がアンバサダーに就任し、事務局員へのアドバイスや支援者の育成、PRなどを担う。新たな支援施策では、支援するスタートアップをFGNの入居・卒業企業に限らない「Fukuoka Growth Network」としてネットワーク化し、対象を拡大。相談窓口「スタートアップカフェ」とインキュベーション施設・FGNの運営は一体化し、一貫した支援体制を整える。大学発スタートアップについては、九州大学オープンイノベーションプラットフォームや、九州・沖縄の大学などが参画するスタートアップ創出プラットフォ―ム「PARKS」との連携で支援を強化。加えて、経理や人事・労務などのバックオフィス業務をサポートする施策を設ける。ハード面では、来年春にスタートアップカフェとイベントスペースをリニューアル。イベントスペースの収容人数を現状の約2倍の150人規模に拡大するほか、オンライン配信に対応した映像・音響設備を整備し、ハイブリッド対応を強化する。12月4日から次年度の入居者募集を開始した。
同日の記者会見で、高島宗一郎市長は「スタートアップ都市宣言から11年が経ち、すそ野が広がった。今後はさらなる高みを目指すことと、社会課題解決に寄与するソーシャルグッドなスタートアップを輩出することを柱に、創業から成長まで一貫した支援に取り組む」、福岡地所の榎本社長は「5年で、時価総額100億円規模のスタートアップ10社が生まれる状態を目指す。資金やIPO人材の確保、売り上げづくりにつながる支援やディープテック分野のスタートアップ発掘・成長支援に取り組み、モデルになる企業を生み出したい」とコンセプトを説明。運営に加わるフォースタートアップスの志水社長は「支援対象を入居企業以外にも拡大する中で、福岡から日本、世界を代表する会社になっていくための志高いコミュニティをつくっていきたい。従来、集合型研修を中心としていた支援メニューを変革し、会社に合わせた支援メニューを提供できる体制をつくる」と意気込みを語った。