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230億円かけ新大学病院病棟など建設  薬師寺道明久留米大学学長    ふくおか経済5月号取材


  本誌「ふくおか経済」は、3月12日、5月号の「表紙の人」コーナーで薬師寺道明久留米大学学長に、インタビューした。薬師寺学長は創立80周年記念事業の概要や大学沿革、今後の計画・目標について話した。インタビューの主な内容は次の通り。
 ―創立80周年記念事業の内容は。
 薬師寺 メーンとなる事業は、旭町キャンパスの大学病院の15階建新病棟新築、体育館、学生部室建て替え、御井キャンパスの講義研究棟新築、それに国分町キャンパスの医療センターの建て替えと附設中学・高校の校舎新築です。
 ―新大学病院棟の概要を。
 薬師寺 15階建てで、延床面積は6万522平方mです。新病棟は、1階に高度救急救命センターがあり、2階は人工腎臓センター、スキルスラボ、3階は画像診断センター、リハビリテーション部、臨床検査部、4階が設備機械室などになります。5階から14階までが病棟です。新病棟全体の病床数は907床で、総合診療棟とあわせると1095床になります。
 新病棟の特徴はなんと言っても、全国の病院で初めて格納庫を持ったヘリポートを15階に設置したことです。これまでは旭町キャンパスのグラウンド隣にヘリポートがあったため、地域住民、学生には騒音などで迷惑をかけてきましたから…。
 また、1932年に建てられた歴史的な建造物である病院本館は、その一部を新病棟に保存することにしています。現在のところ、工事は順調に進んでいます。工事は西側部分を整備する1期工事と、東側を整備する2期工事に分かれており、すでに1期工事は昨年11月に着工しています。2010年8月に完成予定です。
 ―講義研究棟の概要は。
 薬師寺 7階建てで、延床面積は6271平方mです。情報教育センターと心理学教育研究部門の研究室、実験室、演習室などを設置します。来年1月に完成予定です。
 ―記念事業の総投資額は。
 薬師寺 ハード面で約230億円です。記念事業に際して募金活動にも取り組んでいますが、OBや地域のみなさんに協力してもらっています。これからも引き続き、募金活動に取り組んでいきたいと思っています。
 ―創立80周年迎えられましたが、これまでを振り返っていかがですか。
薬師寺 久留米市とともに歩んだ80年だと思います。本学は1928年に九州医学専門学校としてスタートしました。医師を育成する“医育機関”は、大正時代の大学令によって専門学校から大学へと移行していました。しかし、これにより医師が都会、都心部に集中するという問題が生じてきましたので、その対策として地方に医学専門学校を設置しようとの声が福岡県医師会から挙がったのがきっかけでした。
 設置場所を巡っては福岡市か久留米市かで誘致合戦になりましたが、当時の船越岡次郎久留米市長や久留米医師会の先生方の力添えもあり、投票の結果、久留米市に決まりました。創立時には日本ゴム創業者の石橋徳次郎氏、正二郎氏ご兄弟に、久留米市を通して土地や校舎を寄付していただきました。ですから本学の生みの親は、福岡県医師会、育ての親は久留米市と石橋家ご兄弟だと思っています。
 現在、久留米市は人口30万4千人の中核市ですが、市立病院がありません。創立時に、久留米市立病院を移管して九州医学専門学校の附属病院にしたといういきさつから考えると、久留米市の市立病院を肩代わりしたことになります。つまり久留米市民の健康を預かることが本学の役割といえます。だから二人三脚で久留米市とともに歩んだ80年といえるのです。
 ―90周年、100周年に向かってどのような大学にしていきたいとお考えですか。
 薬師寺 この80年間、地元に大きな根を張ってきたつもりです。今後も久留米市と共に歩みながら、国際的に充分通用する人材の育成を目指します。(詳細は「ふくおか経済」5月号(237号)に掲載)