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2月の外国人入国者数、約7割減 九州運輸局


2019年1―12月期は8年ぶりマイナス

 九州運輸局(岩月理浩局長)が3月17日に発表した2月の九州への外国人入国者数によると、クルーズ船による入国を含まない速報値で前年同月比約70%減の10万192人だった。
単月では約8年ぶりのマイナス。昨年7月から日韓関係の悪化で韓国からの入国者数が減少していることに加え、中国・武漢を発生源とする新型コロナウイルスの感染拡大で、中国政府が団体客の出国を規制していることが影響した。1月の入国者数(速報値)は前年比35・8%減の22万423人。九州運輸局ではクルーズ船による入国を含まない入国者数を速報値、クルーズ船を含むすべての入国者数を確定値として発表してきたが、現在、中国発着のクルーズ船の寄港がほぼストップしているため、速報値が実際の入国者に近い実数とされている。
また、同日付で発表した2019年1月から12月までの入国者数(クルーズ船を含む確定値)は、前年比17・5%減の422万2026人で8年ぶりのマイナスとなった。徴用工をめぐる日韓関係の悪化によって韓国からの入国者数が前年比29・2%減となったことや、中国からのクルーズ船による入国者数が前年比28・4%減となったことが影響した。
一方、個人客中心の台湾、韓国からの入国者数は航空路線の新規就航、増便が相次いだことで台湾で11%増、香港で12・5%増と年間ではいずれも過去最高を更新したほか、アセアン地域からの入国者数は福岡とタイ、マレーシア間にLCC(格安航空会社)が新規就航したことによって、前年比52・2%増と大幅に増加、欧米豪からの入国者数もラグビーワールドカップが福岡、熊本、大分の3県で開かれたことで、前年比22%増だった。
定例会見で岩月理浩局長は新型コロナウイルス関連による影響について、「相談やヒアリング活動で聞こえてくるのは“厳しい”という声がほとんど」とした上で、「受け入れ環境の整備や観光資源の磨き上げなど、終息後の反転攻勢に向けてしっかり準備していくことが大事」と強調した。また、昨年1年間の入国者数の推移については「韓国や中国からの入国者減で8年ぶりのマイナスとなったものの、その他の国・地域からの入国者数は過去最高を更新している」とし、官民連携によるインバウンド誘客の多角化が奏功していると述べた。

新型コロナ感染拡大で中国・韓国路線が大幅減に

 同日付で九州各地の空港と中国・韓国とを結ぶ国際定期路線が運休減便になっている状況を取りまとめ、発表した。うち福岡空港を発着する中国路線では、北京線で中国東方航空(週7便、青島経由)が2月1日から4月28日まで、2月末まで週3便に減便していた中国国際航空が3月8日から28日まで運休。上海線では週24便の中国東方航空が2月2日から3月7日まで週4便に減便運航していたものの、3月8日から4月28日まで運休を発表している。また、中国東方航空は上海経由武漢行きの定期便(週7便)を1月24日から運休している。そのほか、マカオ航空のマカオ線(週4便)も2月9日から3月30日まで運休としている。香港線はキャセイドラゴン航空(週11便)、香港エクスプレス(週19便)が3月9日から30日まで運休としている。
韓国路線では、ソウル(仁川)線で大韓航空(週28便)が3月9日から28日まで運休、9日から減便による運航再開としており、アシアナ航空(週21便)は3月9日から31日まで運休としている。また、ティーウェイ航空(週21便)、チェジュ航空(週18便)、イースター航空(週14便)、ジンエアー(週19便)などLCC各社も3月末から4月末にかけて運休。釜山線では大韓航空(週14便)が3月8日から8月29日まで運休、8月30日から10月24日まで減便による運航再開、LCCのエアプサン(週28便)、チェジュ航空(週7)も3月9日から運休している。ティーウェイ航空の大邱線(週7便)も3月9日から運休している。
そのほか、福岡空港を発着する国際線では、中国・韓国を除く国・地域を結ぶ定期路線も台湾、アセアン路線を中心に減便、運休を計画する動きもあり、4月1日に事業開始から2年目を迎えた福岡国際空港㈱(永竿哲哉社長)では着陸料収入の大幅減収を余儀なくされそうだ。

2020年3月31日発行