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124年ぶりの本殿改修に伴い仮殿で参拝開始 太宰府天満宮


週刊経済2023年5月23日発行号

2026年まで3年間限定で

学問の神様・菅原道真公をまつる太宰府天満宮(太宰府市、西高辻信宏宮司)が本殿前に建設していた仮殿が完成し、5月14日から神事や一般参拝を開始した。
同宮で25年ごとの式年大祭がある2027年は道真公の没後1125年の節目にあたることから、式年大祭を前に本殿の大改修を124年ぶりに実施。本殿の代わりとして今年2月から約3カ月の工期で建てられた仮殿は大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーを務める建築家の藤本壮介氏が設計を担当した。「浮かぶ森」をテーマに、弧を描くカタチで傾斜した屋根に同宮のシンボルである梅の木など46種類の木や草花を植えた斬新なデザインが特徴で、土足のまま建物に入れるほか車いす用スロープを設置、黒色で統一され現代的な外観を演出した。建屋は高さ8メートルの鉄骨造り、幅22メートル、奥行15メートル。中からは天井に設けられた窓から植物を見ることができ、神様と参拝者の間を隔てる「御帳(みとばり)」と「几帳(きちょう)」は、パリコレクションに参加するなど世界的に活躍するファッションブランド「Mame Kurogouchi(マメクロゴウチ)」(黒河内デザイン事務所・黒河内真衣子代表)が手掛けた。
本殿から仮殿に「御神霊」を移す遷座祭を前に5月12日、仮殿が報道公開され、西高辻宮司は「3年だから簡単な仮殿というわけではなく3年限定でお参りいただける特別な仮殿をつくりたかった。周囲との自然とも調和し四季折々に変化する仮殿を体感いただけたら」とあいさつした。
現在の本殿は、約430年前に筑前国主小早川隆景が奉納したもので桃山時代の豪壮華麗な様式を伝え国の重要文化財に指定されている。改修工事は5月23日着工、2026年までの約3年間で檜皮の葺替え、漆塗りなどを中心に防災工事などを実施。これほど長期間の修理は再建以来初という。