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食品加工プラント、食品開発ラボを開設 九州産業大学


口・鼻腔内計測装置は九州初

九州産業大学(福岡市東区松香台2丁目、山本盤男学長)は9月27日、学内に量産試作レベルの食品製造が可能な「食品加工プラント」および「食品開発ラボ」を設置し、10月から両施設を稼働させることを明らかにした。

今年4月に開設した生命科学部食品科学コース専門施設として活用するもの。九州地区における食品開発・生産に関する技術者養成の重要性を背景に、最新設備を導入することで、品質管理やコスト計算、自然科学の知識やマーケティングのための社会科学的な視点など、より実践的な学修を実現するのが狙い。

「食品加工プラント」の場所は同大学11号館1階フロアで面積は375㎡。レトルト殺菌機および加圧・減圧調理釜、麺製造機、パン用オーブン、高剪断型乳化機、バター用転相器、擂潰(らいかい)機、アイスクリーム製造機、乳殺菌機を設置するほか、同プラントに実習室(加工室3部屋)、エアーシャワー&サニタリー室、原料庫、ロッカー、更衣室、打ち合わせ室を配置する。また、「食品開発ラボ」の場所は同大学10号館2階フロアで面積は123㎡。味計測装置(味覚センサー)や香り計測装置、脳波測定装置、官能評価システムなどを導入し、「食品分析室」では味、香り、おいしさの評価分析を行い、「食品加工実験室」では九州ラーメン製造技術開発、「食品衛生検査室」では微生物検査を実施。今後、両施設を授業で利用するほか、地域企業との共同開発、学生サークルでの商品開発などを手掛け、将来的に同大学ブランド食品の商品化を目指す方針。

同大学では「食品プラントは実際に企業で使用されている食品加工機器を揃えたミニチュア食品工場であり、量産試作レベルの食品製造が可能な施設を有する大学は九州では珍しい。また、食品開発ラボでは口腔・鼻腔内の香り成分の時間的変化を計測する装置を九州で初導入するなど、今後も産業視点から食品に関する技術者の養成を目指していきたい」と話している。

県工業技術センター生物食品研究所と協定

また、同大学では9月27日付で福岡県工業技術センター生物食品研究所と食品産業の振興と人材育成を目的とした包括連携協定を締結した。

同大学が学内に食品加工プラントおよび食品開発ラボを開設したことに伴い、両者の保有する情報や設備を相互利用するほか、保有する機器を地域の企業に開放し、県内の食品企業との共同開発などによる新製品開発を推進するのが狙い。今回の連携協定に基づく産学官連携によって、食品開発に必要な試作加工機や分析機器を自社保有することが困難な県内の小規模事業者は広範な機器の利用が可能となり、新製品開発力の強化を図ることができるという。

2017年10月3日発行