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道永社長「CN実現は使命でありビジネスチャンス」 西部ガスホールディングス


週刊経済2023年8月17日発行号

地場主要企業トップインタビュー抜粋

西部ガスホールディングス㈱(福岡市博多区千代)の道永幸典社長は、本誌9月号「地場主要企業トップインタビュー」に応え、カーボンニュートラル(以下CN)実現に向けた戦略を語った。
―CN実現に向けてさまざまな取り組みに着手している。
道永 エネルギー事業を主とする当社グループにとって、2050年のCNは必ず成し遂げなければならない重要な使命であり、大きなビジネスチャンスだと考えている。CN実現に向けては3つの取り組みの柱を設けており、一つ目の柱は「天然ガスシフト」。天然ガスの環境優位性を生かし、天然ガスやLPガスへの燃料転換を提案する徹天然ガスシフトを、徹底して進めていく。
―二つ目の柱は。
道永 二つ目は「ガスの脱炭素化」。原料ガスの採掘、輸送、消費するまでに発生する温室効果ガスを、COクレジット等で相殺する「CN-LNG」の導入に加え、バイオガスや水素の利用にも取り組んでいる。また、ガスの脱炭素化の切り札として期待されている技術に「メタネーション」がある。水素とCOから都市ガス原料の主成分であるメタンを合成するもので、工場などから排出されるCOを回収して合成するため、メタンを燃やしてもCOは増加しない。また、都市ガス導管等の既存のインフラ・設備を有効活用して供給できるため、社会コストを抑制したCN実現が可能。私は、このサイクルで合成する「e-メタン」が2050年のCN実現に向けた最適解だと考えており、ひびきLNG基地での実証を検討しているところ。
―三つ目の柱は。
道永 「電源の脱炭素化」。これまで開発してきた太陽光や陸上風力に加え、洋上風力やバイオマスなど新たな再生可能エネルギー電源の開発にも取り組んでいる。九州電力と共同で建設を進めているLNGを燃料とした「ひびき発電所」も今年1月に着工したが、最新鋭のコンバインドサイクル発電を採用することでCO排出量を従来型よりも約20%削減できる。将来的には、脱炭素化につながる「水素混焼」などの検討も行っていく。
さらに、福岡市や北九州市など5つの自治体と脱炭素社会の実現に向けた連携協定を結び、グリーン水素の利活用や市有施設などへの再生可能エネルギー導入などの検討も進めている。