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豪雨災害の復旧・復興、コロナ対策を最優先課題に   大牟田市・関好孝市長


週刊経済2021年2月16日発行

浸水・排水基本計画を策定

大牟田市の関好孝市長は2月2日、ふくおか経済インタビューに応じ、2021(令和3)年の抱負について、昨年7月の豪雨災害の復旧・復興と新型コロナウイルス感染症対策を差優先課題とした上で、一昨年の市長選で掲げた「未来への投資」と位置付ける政策課題に全力で取り組んでいきたいと語った。
―2021の抱負について。
 現在、21年度予算を編成中だが、新年度においては「災害からの復旧・復興と災害に強い街づくり」、および「新型コロナウイルイス感染症対策と地域経済の活性化」の2点を最優先課題として取り組む。併せて、就任時に掲げた3つのまちづくりを進め、「人が育ち、人でにぎわい、人を大切にするほっとシティおおむた」の実現に全力で取り組んでいきたい。
―最優先課題と位置付ける豪雨災害の復旧・復興、コロナ対策と地域経済の活性化について。具体的にどのような施策に取り組む方針か。
 まず豪雨災害の復旧・復興について。すでに応急復旧をはじめ、被災された皆さんへの支援に取り組んでいるが、依然として避難生活を余儀なくされている方もいらっしゃる。また、災害復旧工事は、災害査定が終わり、実施設計の段階で、本格的な工事が始まるのは来年度以降になる。被災者支援では、地域支え合いセンターの相談員による巡回訪問を通じて、支援ニーズの把握などを行い、必要な支援が届くように取り組んでいきたい。また、被災され、住宅に困窮している人を対象にした公営住宅および民間賃貸住宅の一時提供、罹災証明書の交付を受けた世帯を対象にした就学援助についても継続的に取り組む。災害復旧については、被災した地区公民館や農地・農業用施設、公共土木施設、社会福祉施設、学校などの早期復旧を進めるとともに、災害対策も講じていきたい。
一方で、災害につよいまちづくりとして、浸水被害対策および排水対策基本計画を策定し、全市的に浸水被害対策を図っていく。また、被災した三川ポンプ場の新設、防災対策や避難所機能、情報発信の強化を進めるとともに、防災・減災教育も進めていく方針だ。
―新型コロナウイルス感染症対策と地域経済の活性化について。
 4月からワクチン接種が本格的に始まるということもあり、市民の皆さんが確実にワクチンの接種が受けられる体制を作り、実施していく。また、公共施設における感染防止対策にも取り組みながら、生活保護の相談員増強、生活困窮者に対する住居確保給付金の支給など市民生活の支援にも取り組みたい。
地域経済の活性化については、キャッシュレス決済時のポイント付与キャンペーンのほか、商工会議所が実施するプレミアム付き商品券発行への補助を強化することで、市内への消費喚起に取り組む。そのほか、児童・生徒への学習機会の確保、行政サービスにおいてのキャッシュレス収納なども推進していく。
―21年に動き出すプロジェクトについて。まず新大牟田駅前の再開発について。
 新大牟田駅周辺は、本市の重要な広域交流拠点であり、交通アクセスにも優れていることを踏まえ、新たな産業団地を整備する計画を発表している。現在、農村産業法や農業振興法、都市計画法などに基づく県知事の同意手続きを進めており、新年度早々にも県知事の許可が得られる見通し。その後、用地取得や建物等などの移転補償を行い、10月中には造成工事に着工する予定。
開発予定地は新大牟田駅に加え、九州自動車道・南関インター、地域高規格道路・有明海沿岸道路大牟田北インターを横軸で結ぶ主要地方道・南関大牟田北線沿いにあるため、進出企業の受け皿となる産業用地に加え、道路に面した側を「賑わい交流用地」とし、飲食店や店舗、宿泊施設など商業・サービス機能を充実させていく。現在、スケジュールは順調に進んでおり、23年度の完成を目指す。
―イノベーションの創出に向けた取り組みも本格化する。
 新規事業として本格的にスタートする。創出拠点の整備やビジネスマッチング、交流イベントなどに取り組む民間事業者を公募し、市が助成をするスキームで取り組みたい。市中心部の空きビルなどを有効活用していただくことで、AIやIT分野におけるイノベーション創出の拠点を目指していきたい。同時に若者を対象にしたAI、IT分野やビジネスに関する高い専門性を持った人材育成の研修にも取り組む。
そのほか、中小企業の競争力強化や地域産業の活性化を目的としたIT化支援、低炭素型社会の実現を目指す国の動向などを踏まえ、環境配慮型企業の創出に向けた研究開発などの支援事業も拡充させていく。
―延命公園一帯を広域観光・交流拠点として磨き上げることも重要な政策課題と思うが、現状はどうか。
 公園内の大牟田市動物園が10月1日に80周年を迎えるため、記念事業を実施する。園内には「ともだちや絵本美術館」がオープンするが、この施設とも連携しながら、さまざまな企画やイベントなどを開催する予定。また、動物園への案内板などを整備するほか、高齢者や障害をもった人たちの園内移動を支援する実証実験などを行うなど、動物園の魅力向上に取り組みたい。
また、現在の市民体育館の建て替えに向け、(仮称)総合体育館の整備も進めていく。今年度中には基本設計が終了する。来年度には、事業者を公募、実施設計の段階まで進めてく予定。22年度中に着工し、23年度末の完成を目指してくほか、延命公園や周辺道路の整備に向け、公園の園路や広場、道路の実施設計なども進めていく方針だ。