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観光列車やサ高住など新領域に相次ぎ参入  倉富純男西日本鉄道社長


新年抱負インタビュー抜粋

西日本鉄道(福岡市博多区博多駅前)の倉富純男社長は、本誌1月号「新年抱負インタビュー」に応え、多くの新領域への参入などを果たした2019年について語った。以下、インタビューを抜粋。
—2019年を振り返って。
倉富 いくつもの大型プロジェクトが計画通りに進展し、順調な1年だった。主だったところを挙げると、初の観光列車「THE RAIL KITCEN CHIKUGO」が運航を開始したことを始め、AIを活用したオンデマンドバス「のるーと」の実証運行、大橋名店街をリニューアルした「レイリア大橋」のオープン、サービス付き高齢者向け住宅事業への参入、古民家ホテルの「ホテルカルティア大宰府」の開業など、非常に多くの新領域にチャレンジできた1年だった。
—中間期決算は増収減益だった。
倉富 マンション販売戸数の増加や鉄道事業の旅客人員増加など、主力事業がしっかり連結業績をけん引できているのはよかった。利益面では、新規開業に伴う設備投資や用地の仕込みで相応の投資が必要だったが、各事業本来の収益性という点では結果が出せている。ただ、日韓関係の悪化が持ち分法に伴う投資損失につながったことに加え、米中の貿易摩擦の影響が国際物流に少なくない影響を与えている。
—福ビル街区の建替え計画では、11月に天神ビブレが入居する天神名店第一ビルの交渉がまとまり、街区全体の同時開発が決まった。
倉富 当初は福ビル、天神コアを第1期、天神ビブレは第2期と分けて段階開発する計画だったが、比較的早い段階で交渉がまとまったことで、街区全体の同時開発に踏み切ることになった。これにより、新ビルのスケールも全体像が明らかになっており、敷地面積は約8600㎡、延床面積は約13万8000㎡の規模となる。オフィスの基準階床面積は約4300㎡、賃借可能面積は約4万6000㎡でいずれも九州最大となり、商業フロアは約1万6000㎡、ホテルは約50室の計画。
—テナントの計画は。
倉富 地下1階と地下2階にイオンモールが飲食店やスーパーを含む物販店を出店することが決まったが、他はまだ白紙。幸いまだ5年近くもあるのでしっかり詰めていく。ホテルについては、自社運営を社内では推す声もあるが、まずは天神の発展に資するホテルの計画を固めることが大切。その上で、他ブランドとの連携が必要ならばそれも視野に入れるべき。
—天神コア、ビブレ、そしてイムズと天神の主要商業施設が一挙に建替えに入り、一時的に天神の活気が陰るという懸念もある。
倉富 天神全体でこの建設期を乗り切る仕掛けに知恵を絞らなければならない。当社もソラリアプラザやソラリアステージをはじめとする既存商業施設を中心に、天神を盛り上げるイベントや催事を企画していく。

2020年1月7日発行