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自由化の競争時代に「グループ事業強化」で対抗 西部ガス


酒見社長インタビュー抜粋

都市ガス事業者の西部ガス㈱(福岡市博多区千代)の酒見俊夫社長は本誌9月号、「地場主要企業トップインタビュー」に応え、グループ事業強化などの戦略について語った。以下、インタビューを抜粋。
―都市ガス小売が自由化して2年目に入った。
酒見 業界地図が大きく塗り替わっていると感じる。特に、全国的に電力とガスをセットで販売するビジネスモデルが急速に広まりつつある。当社が管轄する九州地区の新規参入は九州電力のみだが、政府はもっと幅広く自由化の波が広がるよう、さらなる制度改革の検討も進めていると聞く。先の見えない厳しい競争が続くだろう。
―自由化後のスイッチング(離脱)件数は。
酒見 6月末で約6万件。自由化直後に比べペースは落ちているが、今後もゼロになることはないだろう。
―自由化の時代にどのように対応していくのか。
酒見 都市ガスで将来的な伸びが期待しにくい以上、それ以外の事業分野、グループ事業の強化が求められる。現在、グループにおけるガス、エネルギー以外の事業が占める売上比率は2割程度だが、2026年度までに5割程度にまで引き上げる方針を打ち出した。
―具体的にはどういった事業を。
酒見 不動産事業には大きな期待をかけている。昨年は下関本社のマンションデベロッパー、㈱エストラストを完全子会社化し、分譲マンション販売に本格的に参入した。また、6月には新たにホテル事業へ参入する計画を発表し、第1弾として熊本市中央区でホテルの建設に着工した。8階建て、98室のビジネスホテルになる。
―海外事業については。
酒見 これまで調達以外の分野で海外とは縁が薄かったが、今秋にはシンガポールに初の海外拠点を開設する。ここを軸に、LNG取引の事業化を図る方針だ。今後は海外向け人材の採用も積極的に進めていきたい。
―今期業績の見込みは。
酒見 増収減益の予想で、第1四半期も概ね予想通りの業績となった。主な要因は原油価格で、今年は高騰が続くと見られている。販売価格が上がる分、売り上げの数字は伸びるが、調達価格が上がるので利益は圧迫される見通し。

2018年8月14,21日合併号