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脂肪細胞の「細胞死」プロセスを解明 福岡歯科大学と九州大学


肥満改善の新たな手法に

福岡歯科大学(福岡市早良区田村)と九州大学(福岡市西区元岡)の研究グループは昨年12月28日、脂肪細胞を「細胞死」に導くプロセスを解明したと発表。肥満に対する新たな薬理学的アプローチとなる可能性がある。
今回の発見は、骨に含まれているホルモン作用を持つたんぱく質「オステオカルシン」に関する研究で生まれた。近年の研究で存在が明らかになったオステオカルシンには、糖・エネルギーの代謝を促し、膵臓のインスリン分泌を促進するなど、身体の機能改善に大きく貢献する特性があるとされている。研究グループは、ホルモン機能を持つオステオカルシン「GluCO」が、脂肪細胞に与える影響について検証し、GluOCの濃度を上げると、全体の3割程度の脂肪細胞の「細胞死」を引き起こすことを発見。さらに、残った脂肪細胞は代謝に有利な性質を獲得することも分かり、「脂肪細胞の減少」と「代謝活性化」の両面から、メタボや肥満改善の効果があることを突きとめた。
今後はマウスなどを使った生体実験で実用化に向けた検証を進めていく。オステオカルシンは「体から尿などとともに排出されやすい」という特性もあり、効果を得るためには持続的に投与する方法が求められ、研究を主導する大谷崇仁助教は「毎日注射したり、皮下に浸透圧ポンプを埋め込んで投与するなどで血中のオステオカルシン濃度を高く出来るが、より手軽に投与できる方法も考えていく必要があるだろう」と語っている。

2019年3月5日発行