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総事業費1700億円の響灘・洋上風力発電が本格着工 ひびきウインドエナジー


週刊経済2023年5月16日発行号

25年度中の稼働予定

ひびきウインドエナジー㈱(北九州市若松区響町1丁目、水町豊社長)は4月25日、同区響灘で展開する洋上風力発電所・北九州響灘洋上ウインドファームの起工式を実施、2025年度中の運転開始を目指し、本格着工した。
総事業費は約1700億円。響灘の南北1キロ~10キロ、東西11キロの海域に設備容量約9600キロワットの大型風車25基を設置する。風車の羽根となるブレードの高さは直径174メートルで、最高地点は海水面より200メートルの高さ。総出力は最大22万キロワットで、国内の洋上風力発電では最大規模となる。年間の発電量は一般家庭の約17万世帯に相当するという。発電した電力は海底に敷設されたケーブルによって変電所に送られ、九州電力送配電㈱を通じて販売される。工事は風車を基礎工事からスタート。大型の作業船を使い、杭打船やSEP(自己昇降式作業台船)などで海底地番内に杭を設置、その後、陸上で組み立てたジャケットを起重機船で洋上に運搬し、24年11月までに所定の位置に設置される。海底ケーブルの敷設工事は24年7月頃から着手し、風車は発電所に近い陸地に整備される基地港湾のヤードで仮組立て(24年10月から25年6月)が行われた後、部材を洋上まで運搬し、各風車の基礎の上にタワー、風車を据え付ける(25年4月から9月まで)。国、北九州市によって整備される基地港湾には、工場用地なども整備され、関連企業の誘致などを目指す。
起工式では同社の水町豊社長や北九州市長をはじめ、工事事業者、電源開発の渡部肇史社長、九州電力㈱の池辺和弘市長、西部ガス㈱の道永幸典社長、㈱九電工の石橋和幸社長らが出席し、神事に臨んだ。
本格着工に合わせ、あいさつした水町社長は「工事に至るまでいろんな課題に直面したものの、無事に着工できたことはうれしい。洋上風力発電は国内の再生可能エネルギーにおいて大きなウェイトを占める分野。工事を安全に進めることで国内最大級の洋上風力発電の運転開始を目指していきたい」、北九州市の武内和久市長は「総事業費1700億円の大型プロジェクトとして北九州経済の起爆剤として期待している」とした上で、「拠点港湾には関連企業などの誘致を進めることで、国内における洋上風力発電のサプライチェーンなどが構築される。新しい産業をアジアに向けて発信していきたい」と期待を述べた。
同事業は16年に北九州市が実施した響灘洋上風力発電事業の公募事業としてスタート。17年2月に九電みらいエナジー㈱などが特定目的会社として設立した同社が事業者として選定され、着工に向けた準備を進めてきた。