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経営者賞に大森仁史大森淡水会長兼社長ら3氏 経営者顕彰財団


週刊経済2023年5月2日、9日合併号

18人の候補から選定

公益財団法人経営者顕彰財団(福岡市博多区博多駅前1丁目、理事長・久保田勇夫㈱西日本FH会長)は、2022年度(第50回)の「経営者賞」に水産養殖業の㈱大森淡水(宮崎市)の大森仁史代表取締役会長兼社長、冷凍食品製造の㈱八ちゃん堂(みやま市)の川邊義隆顧問、総合物流業の㈱博運社(糟屋郡志免町)の眞鍋博俊代表取締役会長の3氏に決定し、4月27日に福岡市内で表彰した。
同賞では九州・山口において中小企業の経営・技術に優れた業績をおさめ、地域経済の発展に貢献のあった経営者を毎年表彰。今回は昨年10月末までに推薦を受けた18人の候補から選んだ。各受賞者の主な表彰理由は次の通り。
大森氏は1952年1月7日生まれの71歳。大森淡水は1967年7月創業、1980年4月設立。資本金1千万円。従業員210人。国内有数のウナギ養殖地である宮崎、鹿児島両県を代表する養鰻業者。約30戸の契約生産者を含め国内生産シェアの約2割を占める。また、稚魚であるシラスウナギの仕入れから養殖、加工、販売(レストラン事業を含む)までを一貫して手掛ける。大森氏は1967年に宮崎市で個人創業後、両県内において養鰻業者の指導・育成にも努め、地域経済の発展に寄与。1980年前後からは、いち早くトレーサビリティ(生産履歴の管理)の確立に取り組んだほか、宮崎県鰻販売事業協同組合を設立し、残留薬物の検査態勢を導入した。現在NPO法人セーフティー・ライフ&リバーの理事長として、絶滅危惧種に指定されている二ホンウナギの完全養殖実現に向け、東京大学などとの共同研究を続けている。
川邊氏は1941年1月12日生まれの82歳。八ちゃん堂は1977年2月創業、78年7月設立。資本金3千万円。従業員204人。同社は軽ライトバン1台でたこ焼きの移動販売として開業。道路沿いの小型店舗出店と併せ、フランチャイズ展開を進めるなどして知名度を向上させ、売り上げを爆発的に伸ばした。82年に開発した日本初の「冷凍たこ焼き」で全国に販路を拡大し、その後も「冷凍焼きナス」「冷凍みかん(商品名:むかん)」などのヒット商品を開発してきた。川邊氏は、自動車ディーラーの営業マンから独立開業し、自身のアイデアと行動力を武器に商品開発と販売を実践し、一代で同社の業容を作り上げた。また、地元の小学生の社会科見学などで普段は外部秘としている製造工場を開放し、子どもたちに「学ぶ機会」を継続的に提供するほか、同社商品がみやま市のふるさと納税返礼品に採用されるなど、地域への貢献活動にも注力している。
眞鍋氏は1950年10月11日生まれの72歳。博運社は1957年1月創業、設立。資本金8918万円。従業員912人。九州一円を営業エリアに医薬品や住宅関連設備、食品、日用雑貨を主力として、トラック台数455台、営業倉庫の延べ床面積3万9千坪を誇る福岡県内大手の総合物流企業。特に九州トップシェアの医薬品物流分野では、運送業者としては国内で数少ない医薬品卸売販売業の免許を保有し、長年のノウハウと最新設備をもとに、新型コロナワクチンの輸送なども担っている。眞鍋氏は1994年に天神地区の交通渋滞解消・環境改善を目的として、地元運送業者31社の共同出資で設立された天神地区共同輸送㈱の社長を務めるなど、長年にわたり地元の運送業界全体に貢献。また、2015年から福岡県トラック協会会長を務め、地元の運送業界全体をリードする立場として交通事故撲滅運動、交通遺児支援活動などに積極的に取り組む。2020年には福岡商工会議所の副会頭にも就任するなど、地域経済全般への貢献度も大きい。