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約2年ぶりに空室率改善  福岡市のオフィス空室率    生駒データサービスシステム調べ


 今年6月期の福岡市内のオフィス平均空室率は、前期の3月期から0・2ポイント低下し14・1%だった。2008年12月期以降、空室率は上昇基調で推移し、前期まで4期連続で最高値を更新していたが、7期ぶりに低下に転じた。
 オフィスビル仲介業、シービー・リチャードエリス株式会社関連の不動産マーケティング会社、株式会社生駒データサービスシステムの調べによるもので、調査区域は「天神」「赤坂・大名」「渡辺通・薬院」「博多駅前」「博多駅東」「呉服町・川端」「ももち」の7ゾーン。テナントの動きは依然として経費削減を目的としたものが目立つものの、自社ビル売却に伴う賃貸ニーズ、ゾーン外からの移転ニーズなど、賃貸マーケットの拡大につながる需要で空室を消化したビルが複数あった。さらに今期は、建て替え需要の受け皿として予定されているビルが貸し止めとなったことも需要引締めの一員となった。
 ゾーン別に見ると今期は7ゾーン中4ゾーンで空室率が改善した。このうち1・8ポイントもの大幅な改善を見せた「呉服町・川端」ゾーンは、2009年に竣工した新築ビルが複数の大型需要を確保したことや、自社ビル売却による移転需要で空室を消化したビルが見られたことなどが空室率の低下要因となっている。一方、1・4ポイント上昇の15・5%を示した「天神」ゾーンは、ここ4期連続で過去最高を更新しており、今期はオーナー事情により一旦貸し止めとなっていたビルが再募集した影響が大きかった。
 同社では「これまで大量オフィス供給が需給緩和の要因だったが、これらの新築ビルは最新のスペックと割安な賃料設定、まとまった面積確保が可能などの点が功を奏し、徐々に空室を消化しつつある。さらに今後、一部のテナントで新設、拡張など大型需要の顕在化も予定されており、これらの動きが福岡マーケット全体の需要を牽引していくことが期待される」と分析している。