NEWS

  • 地域

糸島市の水素エネルギーセンターに新研究棟  水素エネルギー製品研究試験センター    来年3月完成予定


 公益財団法人水素エネルギー製品研究試験センター(通称HyTReC=ハイトレック、糸島市富、渡邊正五理事長)は8月26日、水素ステーションなどに用いられる大型水素貯蔵タンクの試験棟建設に着工した。来年3月の完成、4月からの試験開始を予定している。
 同事業は12年度経済産業省補正予算を活用したもので、事業費は29億4147万9000円。既存の水素エネルギー製品研究試験センターの隣接地に建設する。敷地面積は約8300平方m、建物は平屋建てで延べ床面積は約2700平方m。設備は、耐久試験などを実施する高圧水素ガス試験室4室と液圧試験室2室、耐久試験や破裂試験などを実施する水圧試験室2室。新試験棟の整備により、大型水素貯蔵タンクの耐久性試験や耐圧試験が可能になる。15年に市場投入される燃料電池自動車から水素ステーションでの使用を想定した水素貯蔵タンク試験に対応できる、国内唯一の試験機関となる。評価対象の容器仕様は最大500リットルで、外径が80cm、全長6m。使用温度範囲はマイナス40℃~プラス85℃。最大圧力は約1100気圧。
 着工式で、渡邊理事長は「試験設備の能力は世界最高水準。財団職員一丸となって、ご期待に沿えるセンターとなるよう取り組んでいきたい」とあいさつした。小川洋県知事は「世界最先端、最大級の研究施設となる。研究、試験によるデータの蓄積により、企業の参入や技術支援が期待される。県としても、グリーンアジア国際戦略総合特区の支援メニューを活用し、水素エネルギー事業を育成、加速したい」と方針を語った。松本嶺男糸島市長は「世界最高水準の研究施設は市にとっても誇り。現在センターに来訪、滞在する人は年間1千人弱で、ビジネスホテルが建設されるなど新たな動きにもつながっている。近くに九州大学も立地する地の利を生かして、大いに発展してほしい」と期待を述べた。
 県では、産学官677企業・機関が参加する福岡水素エネルギー戦略会議(会長=岩城正和新日鐵住金株式会社代表取締役副社長)とともに、福岡水素戦略(Hy‐Lifeプロジェクト)として、水素エネルギー、燃料電池分野を県の成長産業とするため「研究開発」「社会実証」「水素人材育成」「世界最先端の水素情報拠点の構築」「水素エネルギー新産業の育成・集積」を柱に振興策を展開している。