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筑紫野天山にガスコージェネ専用の倉庫兼試験場を着工   コーリンエンジニアリング   投資額は1億円見込む


 中型コージェネレーションシステム(以下コージェネ)の防音エンクロージャで全国シェア50%を超える発電システム機器製造のコーリンエンジニアリング株式会社(粕屋郡宇美町宇美、幸松了社長) は筑紫野市天山に敷地面積7,600平方mの用地を7月1日取得、9月にもガスコージェネレーションシステム(以下ガスコージェネ)専用の倉庫兼試験場「筑紫野倉庫」を着工する。土地代を含む総事業費は一億円を見込み、完成は11月を予定している。
 現在、業界では燃料に重油を使用したコージェネが主流となっているが、今後は排ガス規制など環境問題への対応や油の価格変動リスクから、各メーカーはよりクリーンなガスを利用したガスコージェネの開発を急いでいる。大手メーカーのOEMに特化している同社でも、こうした傾向に対応すべく、ガスコージェネ製品の試験が実施できる専用倉庫の新設を構想していた。
 筑紫野倉庫は国道386号沿い、筑前町との市郡界近くに立地し、「宇美町の本社工場や桂川町の天道倉庫とも好アクセス」という。倉庫は建築面積が840平方mで、平屋建て。倉庫内には20tクレーンを装備する計画。
 同社は1986年創業、91年設立。資本金5,700万円。従業員110人。艤装と防音技術でコージェネレーションシステムのOEMに特化し、新日本石油やヤンマー、エネサーブ、西芝電機、ユニチカ、いすゞ自動車など大手企業を得意先とする。特に中型コージェネレーションシステムの防音エンクロージャ(防音パッケージ)では全国シェア50%を超えている。近年のコージェネ市場の拡大により、03年4月期に売上高が01年同期比倍増となる25億円に急成長したが、05年4月期にはさらに伸長し、売上高32億9,900万円となった。設備投資が相次ぐが、昨年8月に東京三菱銀行保証の無担保私募債1億円を発行したほか、地銀などの取引行も増やすなど、資金調達の多様化や対外的な信用力の向上に努めている。
 幸松社長は大分県豊後高田市出身。1949年2月21日生まれの55歳。大分県立高田高校卒―社団法人千代田学園専門学校電子工学科卒。日本電熱に入社、11年間勤務し、主に自動制御を担当。その後福岡の電気機器製作会社を経て、86年創業。91年法人化。趣味はゴルフと海釣り。

1億3,000万円をかけ本社組立試験工場を増築

 また同社が総投資額1億3,000万円をかけ1月末に着工していた、本社組立試験工場の増築が5月21日に完了した。
 大手メーカーのOEMに特化している同社では、これまで150~500kWの中型コージェネを中心に受注してきたが、各メーカーの製品が五百kW以上に大型化してきており、また05年以降、各メーカーからの要請に出来るだけ応じられる量産体制を整えるため増築したもの。
 既設の組立試験工場に隣接していた駐車場に、同工場に接続する形で試験ヤード(床面積895平方m)を増設。既設工場では試験ヤードの一部を増設部分に移すことで、パーケージ組立、常用発電機製造、非常用発電機製造の各ラインを拡張、25tクレーンも新たに設置した。増設した試験ヤードにも20tクレーンと15tクレーンを装備して、大型化、量産化に対応する。
 なお工場増設により、工場隣接地(1,856平方m)を新たに借りて、70台収容の駐車場を設けた。
 同社では新日本石油、ヤンマー、エネサーブ、西芝電機、ユニチカ、いすゞ自動車など大手メーカーを取引先にしているが、05年4月期の三菱重工業、前川製作所、バブコック日立に加え、06年4月期には日立製作所、JFEからの新規受注も予定しており、受注増加に比例し設備投資も積極化している。

2005.08.17発行の速報誌『週刊経済』より