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空室率は3期連続上昇し1・7%に 東京都のCBRE調べ


週刊経済2021年3月23日発行

福岡市のオフィス平均空室率

2020年第4四半期(10~12月)の福岡市のビル(延べ床面積が3300㎡以上で新耐震基準に準拠したビル)のオフィス平均空室率は、前期(2020年第3四半期)から0・5ポイント上昇し1・7%となり、依然として低い水準ながらも2期(半年)連続して上昇した。
事業用総合不動産サービス・CBRE㈱(東京都港区)の調べによるもの。新型コロナウイルスの感染拡大予防対策として、出社率を抑えたテレワークの導入や完全在宅勤務等の働き方に変化した企業、来客型となる教室・貸会議室等の業態の拠点撤退、一部減床など解約の動きが目立った。また「天神ビッグバン」の建て替えに伴う立ち退き需要が一巡したことや、先行き不透明な景況感からテナント企業の方針見直し、意思決定スピードの鈍化が、募集中の空室の長期化につながった。
このほか、全国の地方都市の状況としては、全国で拠点を展開する⼤企業の⼀部では、地⽅都市拠点の⾒直しに着⼿し始めており、今期、いくつかの都市では同じ都市内で拠点を集約し総⾯積を縮⼩させる動きがみられた。「来期以降、こうした動きがさらに増える可能性もある。経済は先⾏き不透明な状況が続いており、オフィスの移転ニーズがコロナ禍前の⽔準まで回復するにはまだしばらく時間がかかるとみられる」と分析している。
想定成約賃料については前期から0・7%減少し、16350円/坪(共益費込)となった。コロナ禍でもシステム開発やIT関連、コールセンターといった業種の増床・分室案件は増え、成約も出てきている。しかし、「今年の新規供給量は約2・1万坪分あり、懸念されるのはその2次空室。ここ数年、枯渇していた空室が一気に増加することが予測される。テナント動向が不透明なことを考慮すると競争力の高い物件を含め、比較検討できる物件が増えることから価格競争は免れないだろう」(同社)としている。