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空室率は3期ぶりに低下し2・4%に 東京都のCBRE調べ


週刊経済2023年4月4日発行

福岡主要オフィスゾーンの空室率

2022年12月期の福岡主要オフィスゾーン(延べ床面積が3300㎡以上で新耐震基準に準拠したビル)の空室率は、前期(9月期)から0・8ポイント低下し2・4%となり、3期ぶりの空室率低下となった。
事業用総合不動産サービス・シービーアールイー㈱(東京都港区)の調べによるもの。要因として「大型解約や新規供給がなかったこと、引き続きシステムやアプリ開発、IT関連、eコマース、コールセンターなどの業種の根強い増床・拡張移転ニーズに加え、新たに福岡へ進出する企業のニーズにより、堅調に空室が消化された」と分析している。
一方、想定成約賃料(共益費込)は、対前期比0・2%低下の1万6050円/坪となった。新築・既存を問わず、募集期間が長期化するオフィスを中心に、賃料そのものの見直しやフリーレントの付与など、賃貸条件の緩和が進んでいるという。福岡市が主導する再開発「天神ビッグバン」で供給が進む好立地かつハイグレードな大型オフィスでは、福岡の賃料上昇をけん引する事例も散見される。しかし「テナントの動きは依然として、2万円/坪(共益費込)を超える高価格帯のオフィスを選定するには慎重な状況で、空室消化が進んでいるのはグレードや立地に照らして割安感がある物件が中心」としている。
福岡市での今年の新規供給は、呉服町や中洲川端などオフィスマーケットの中心ではないエリアでの開発が続く。最新の設備水準を備え、大型面積が確保でき、かつ賃貸条件が中心エリアほど高額ではないことから、テナントからの注目が高まっている。同社では「昨今の全国的なオフィス選定の傾向は、既存物件であれば原状回復が終わる時、新築物件であれば竣工が近くなり、実際の状況を確認できる時から一気に成約に向けて推進力が働く。これらのエリアでの開発は、天神や博多以外での開発への試金石として、今後関心度が高まると予想される」と見ている。