NEWS

福岡城天守復元へ、高島市長に報告と提言 福岡城天守の復元的整備を考える懇談会


週刊経済2025年2月12日発行号

 福岡商工会議所を中心に組織した「福岡城天守の復元的整備を考える懇談会」(山中伸一座長)は1月31日、福岡城天守の復元に向けたさらなる調査や機運醸成を求める提言・調査報告書を高島宗一郎福岡市長に手渡した。

同懇親会は、昨年3月から有識者などを招いた6回の懇親会を開催。細川家の往復書簡など、天守の存在を裏付ける資料などを基に、「福岡城天守は江戸時代初期にいったん建築されたが、のちに破却されたとみて間違いはなく、それを否定することは難しい」と結論付け、具体的な復元的整備に向けた課題、手法などの検討を進めてきた。また、「天守の規模・構造は姫路城と同等の五重六階地下一階、高さは約26mと推計される」「外観は黒を基調としていた」などの検討結果も合わせて報告。これを踏まえ、官民一体となったさらなる調査、具体的には天守台やその付近の発掘調査の必要性を訴えるとともに、福岡城に対する市民意識の向上、市民が歴史を考える機会の創出、文化庁の復元基準の柔軟な運用などを市に提言した。

山中座長は天守の復元というテーマを提起することで、「福岡の歴史や文化を市民が考えるきっかけになる」と強調。「8月に実施した市民アンケートでも大部分の市民が天守の復元に対して前向きで、福岡の新たなシンボルが求められている」と説いた。これを受け、高島市長は「私も以前から、明確に『なかった』という資料が見つかっているわけでもないのに、『天守はなかった』とされている現状に疑問を感じていた。懇親会の活動を通じ、改めて史料等を調査し直したところ、天守が『あった』ことを指すと見られる史料が出てきている」と話し、調査に前向きに協力していく姿勢を見せた。また、山中座長は昨年春に「幻の天守閣」をイルミネーションで表現した市の取り組みについて、「あれをきっかけに市民の天守への興味が大きく高まった感がある。是非今年もやってほしい」と求め、高島市長は「今年の春も実施する予定」と答えた。