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福岡久留米工場完成、先端IoTで生産性3倍の工程も 資生堂


週刊経済2022年6月7日発行

投資額約450億円、1千人雇用へ

化粧品メーカーの㈱資生堂(東京都中央区、魚谷雅彦社長)は5月26日、久留米市田主丸の久留米・うきは工業団地で建設していた新工場「福岡久留米工場」が完成、報道陣に公開した。
同社では国内生産体制の再編の一環で、スキンケアを生産する3件の新工場建設を発表。19年に那須工場、20年に大阪茨城工場が開設しており、今回の福岡久留米工場の完成で国内新工場の整備が完了した。敷地面積は約9・7万㎡。投資規模は約450億円。「エリクシール」をはじめとした中価格帯のスキンケア製品を生産する工場となり、フル操業時の生産能力は年間約1・4億個。2026年までに段階的に生産能力を引き上げていき、その間に約1千人の雇用を計画しているという。
同工場は、最先端のIoTを取り入れた効率的な生産体制を特徴とし、複数の品質項目をリアルタイムでモニタリングし、設備を自動制御する製造方法や、複数ラインの作業進捗可視化システムなどを導入し、少人数でのオペレーションが可能な生産ラインを構築。また、化粧品の充填仕上げラインなどでは積極的に最新のロボットを導入しており、化粧品業界初の「リアルモーター駆動の梱包装置」を導入し、生産性は約3倍に向上する。そのほか、環境性への配慮も特徴の一つで、建築環境総合性能評価システム(CASBEE)ではAランクを取得。施設内で利用する電力は100%再エネを用いるほか、駐車場の敷地には太陽光パネルを設置。2023年にはさらに倍のパネルを設置し、工場で使用する年間消費電力の11%相当の発電量を見込むという。また、地域に開かれた工場として、工場内に見学施設「BEAUTY PLANET」をオープン。2023年以降に工場見学をスタートする予定。災害時には、水や避難場所を提供する防災拠点としても活用していくという。
魚谷社長は会見で「IoTを活用し、世界で最も生産性が高い工場を目指した」と話し、「2030年までにスキンビューティー領域で世界ナンバーワンを目指す当社のグローバル戦略において、アジアの玄関口・福岡に立地する当工場の役割は非常に大きなものになる」と期待を寄せた。また、会見に出席した服部誠太郎福岡県知事は「生産拠点の機能だけでなく、一帯が『産業観光』の拠点として成長していくことに期待したい」とコメントした。