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社会全体で感染防止を図り、社会経済活動の引き上げを  福岡県・小川知事


プレミアム商品券追加発行など

福岡県の小川洋知事は11月25日、ふくおか経済新年号インタビューに応じ、2021(令和3)年の抱負として、「何よりも取り組まなければならないのはコロナ対策」と強調した上で、「社会全体で感染防止を図り、丑年らしく一歩一歩着実に社会経済活動レベルを引き上げていきたい」と語った。主な内容は次の通り。
―21年の抱負について。
小川 何よりも取り組まなければいけないのはコロナ対策。今後、ワクチンや治療薬が開発されるまで、長く付き合っていかざるを得ない。社会全体で感染防止を図りながら、丑年らしく一歩一歩着実に社会経済活動レベルを引き上げていきたい。
―コロナ禍で落ち込んだ県経済の立て直しは。
小川 各指標をみると、生産と消費に関しては持ち直しの動きが見られているが、依然として厳しい状況に変わりない。経済の立て直しで重要なことは需要を創出すること。地域における個人消費の喚起に効果的なプレミアム商品券はこれまで、総額233億円の発行を支援してきたが、さらに40億円の追加発行を行うための補正予算を12月議会に提案している。また、大変深刻な状況にある観光業については、県内の旅行需要を喚起するため、国のGotoトラベルに先行し、7月から9月まで「福岡の魅力再発見」と題した宿泊助成のキャンペーンを展開、約10万5千人が利用した。11月5日からは第2弾の助成を開始したが、2日間で受付件数が上限となる10万人に達した。このため、15万人分の補正予算を12月議会に提案している。また、需要が減少している福岡県産の加工食品や工芸品、農林水産物を通販サイトで販売する「福岡県ウェブ物産展」は、最大3割引きで購入できるため、とても好評。これまでで約14億円の売り上げを確保している。
―新しいビジネスとして挑戦している分野は。
小川 宇宙ビジネスとブロックチェーンの分野。いずれの分野も、県内に関連企業や研究機関などが集積している。それぞれでフォーラムを開催したが、いずれも反響が大きかった。関心と注目度の高さを実感している。引き続き両分野におけるビジネスの創出を目指していきたい。
―コロナウイルスの治療薬開発なども進んでいるとか。
小川 PCR検査を行い、高いウイルス研究の治験を有する県保健環境研究所と久留米発のバイオベンチャー・㈱ボナックは、5月から新型コロナウイルスの治療薬開発の共同研究を進めている。すでに細胞レベルでは有効性が実証され、現在、海外での動物実験が始まっている。21年度中にはヒトでの臨床試験に入り、22年中に患者への投与(拡大治験)を目指している。
―「ポストコロナ」を見据えた福岡県のあるべき姿は。
小川 日本海側に位置し、アジアを向いた一大拠点として発展し、バランスの取れた日本の発展に貢献していきたい。多発する自然災害に加え、今回のコロナ禍で人と企業の価値観や意識は大きく変わりつつある。すべての機能が大都市圏に集中していることをリスクとして意識し始めている。テレワークやオンライン学習などが普及し、リモートでも対応できることが分かった結果、地方への関心が高まっていることだ。県の移住相談窓口「ふくおかよかとこ移住センター」への相談件数は、直近の9月と10月で昨年度に比べて約1・7倍まで増加している。企業活動においても本社機能や研究開発機能などを分散する動きが高まりつつある。その受け皿に福岡県が選ばれるよう魅力ある地域づくりが求められている。
福岡県の地方創生の取り組みは「これまで住み慣れたところで“働く”、長く元気に“暮らす”、お子さんを安心して産み“育てる”ことができる地域社会」だ。これからの時代においても、この流れは変わらない。県内各地の魅力を磨き、高めることで福岡県を元気にしていきたいと思う。

2020年12月8日発行