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研究拠点新設の西部技研を特区指定法人に 福岡県


投資額7億円、12月頃に完成へ

福岡県は5月9日、空調機器メーカーの株式会社西部技研(古賀市青柳、隈扶三郎社長)をグリーンアジア国際戦略特区の指定法人に指定した。

特区を活用して設備投資を実施する企業としては60社目、同特区による設備投資累計額は1720億円となった。西部技研は環境貢献性の高い空調機器製造を手掛け、中国や欧米などへ販路広げてきた地場老舗メーカー。このたび、本社隣地に取得していた約5000平方mの敷地に、約7億円を投じて研究開発の新拠点、「西部技研イノベーションセンター」の建設を決めた。同拠点を通じ、さらなるCO2削減や省エネ性能の高い空調機器の製造を目指していくという狙いが特区の理念に合致すると判断され、今回の指定に至った。

新拠点は約30人体制でスタートし、同社の研究・開発機能を集約。さまざまな製品のシミュレーションが行える空間や試験設備を備える。また、外部向けに省エネドライルームをはじめとする同社技術を紹介、発信する拠点としても活用していく方針で、将来的には複数企業が集まったオープンイノベーションによる研究開発も視野に入れている。完成は12月頃の予定。

同特区の指定法人制度を活用すると、設備投資に対する特別償却や税控除などの特例措置を受けることができる。同日、小川洋県知事から法人指定書を受け取った隈社長は「用地は2008年頃に取得していたが、リーマンショック等の経済情勢の悪化でハードの整備には至っていなかった。最近は、中国向けをはじめとする旺盛な海外需要を弾みに業績は順調に伸びており、ようやく念願の研究開発拠点を建設できる状態になった」と経緯を説明。「当社技術を象徴する施設として、さらに製品の質を高めていくとともに、従業員の能力開発拠点としても機能させていきたい」と展望を語った。

2017年5月23日発行