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県に地域公共交通計画作成と法定協の設置を要請へ 平成筑豊鉄道沿線9市町村


週刊経済2024年11月13日発行号

服部知事に要請書を手交

直方市と行橋市を結ぶ第3セクター・平成筑豊鉄道㈱(福智町金田、河合賢一社長)の今後の在り方について、田川市など沿線9市町村のトップが10月31日、福岡県庁を訪れ、服部誠太郎知事に地域公共交通計画作成や法定協議会(法定協)設置などを盛り込んだ要請書を手渡した。

同社は、旧国鉄の伊田線、糸田線、田川線を国鉄分割民営化に伴いJR九州から路線を継承、第3セクターとして1989年に開業。現在は、沿線の高校生にとって“通学の足”として重要な公共交通の役割を担っているものの、少子高齢化による人口減少の影響で、近年の利用客数はピーク時の3分の1まで減少。2020年からの新型コロナの影響や物価高など新たな経営課題も加わり、経営環境の悪化に拍車をかけた状況となっている。実際、22年度から実施してきた現状分析やシミュレーションでも鉄道を維持し続けてきた場合、年間で約10億円の赤字(現在3億円の赤字)が継続する見通しとなっている。こうした状況を踏まえ、今年7月に平成筑豊鉄道㈱から法定協設置の要請を受けた9市町村では協議・検討を重ね、県主導による地域公共交通計画の作成と法定協の設置を要請することで一致していた。

当日は田川市の村上卓哉市長ら沿線9市町村の首長がそろって出席。市町村を代表し、村上市長が地域公共交通計画の作成や法定協設置などをも売り込んだ要請書を服部知事に手渡した。村上市長は「今後の在り方を早急に検討し、客観的な事実とデータに基づき、持続可能な形へと再構築していくことが必要と考えている。沿線が9市町村と広域的にまたがるため、県の強力なリーダーシップが不可欠だとし、要請した。地域住民によって安定的な交通手段を確保するためさらなる支援をお願いしたい」と支援を呼び掛けた。要請書を受け取った服部知事は「抱える課題、取り巻く環境、議会や住民の皆さまの考え方など市町村ごとに違いはあるが、広域にわたる公共交通を持続可能な形で確保していくためには地域の関係者が具体的な事実とデータで議論を深め、相互に理解を深めていくことが重要。要請書をきわめて重く受け止めている。早急に対応を進めていきたい」と語った。