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県と連携、スタンフォード大英語教育プログラムなど実施 在福岡米国領事館のテイラー首席領事
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週刊経済2022年3月8日発行
在福岡アメリカ領事館のジョン・テイラー首席領事は、ふくおか経済インタビューに応じ、アメリカと福岡とビジネス交流の現状などを語った。主な内容は次の通り。
―就任から3年目。福岡とのビジネス交流の現状について。
テイラー こちらに来て2年半が経つが、福岡の高いポテンシャルに深い感銘を受けることが多々ある。まず起業化率が全国1位であること。起業化の皆さんにとって、東京に比べると福岡は魅力的な都市として成長している。それから多くのアメリカ人が「日本は同質な社会」と思っているケースが多いが、東京と同様、多様性に富んでいる地域でもある。福岡の人は和やかで気さくな人が多い。かつ福岡県という括りで見ると、福岡、北九州、筑豊、筑後それぞれの地域で異なった個性があり、とても豊かな社会ではないか。さらに九州という視点で見ると、各県それぞれに違いがありながらも、「九州はひとつ」という連帯感があることも実感している。
また、2023年に開催予定のG7・先進7カ国首脳会議を福岡市の高島宗一郎市長、福岡県の服部誠太郎知事、九州経済連合会の倉富純男会長が福岡市への誘致を宣言されました。行政のトップと九州経済界のリーダーが強力にタッグを組んで誘致を目指すことは素晴らしい。私たち在福岡領事館としては、福岡での開催が実現できることを願っている。
―今後のポテンシャルについては。
テイラー 活発な交流という点ではこれから。一般的にアメリカから見て福岡、九州の知名度は東京や京都に比べると依然として低い。しかし、投資やビジネスを行う上で投資先としては素晴らしい環境が整っている。
特に福岡市は、いくつか魅力的な点がある。まず都市と自然環境のバランスが取れたコンパクトシティで、とても住みやすいということ。特に家賃は東京に比べるとはるかに安い(笑い)。それから米国企業がアジアの他都市でビジネス展開する際、福岡に拠点においても全く問題がない。福岡空港と都市部が近いことも大きな魅力だ。こうした点を踏まえると、アメリカとのビジネス協力、パートナーシップ関係の構築については、大きなポテンシャルを秘めていると強く思う。
―福岡市中心部では天神ビッグバンや博多コネクティッドなどによるオフィスビルの再開発が進んでいる。福岡市や地元経済界では外資系企業の誘致に力を入れる動きが見られ、対象となるのは米国に本社を置く企業、あるいは米国発のグローバル企業といわれているが、領事館としての支援は。
テイラー 最も身近な支援では英語の能力を高めるためのお手伝いだ。例えばアメリカの大学への留学支援、あるいは留学に必要な情報の提供は、従来から福岡アメリカンセンターを中心に取り組んでいるが。新たな取り組みとして、昨年11月2日に福岡県がスタートさせた「Stanford e-Fukuoka」プログラムの立ち上げを支援した。スタンフォード大学が日本の高校生向けに開発・運営する英語による異文化理解教育プログラムを活用、英検2級以上の高校生を対象にハイレベルの英語力を培ってもらうことが狙い。
そのほか、福岡市とは米国からの企業誘致を支援するため、意見交換などの活動を行っており、潜在的な企業に声が届くようネットワーキング活動にも取り組んでいる。
今年4月には領事館が福岡市に開設されて70周年という大きな節目を迎えるが、若い人たちの活発な交流を支援することが今後も大きなカギになることは言うまでもない。福岡県の将来を担うグローバル人材が輩出されることを大いに期待している。
―福岡に在住する米国人の立場から見て、福岡がもっとグローバルな都市にステップアップするために必要な点は。
テイラー 海外から多くの人たちがやってくるような国際的なスポーツイベントなどが多く開催されていけば、福岡に対する注目度は高まってくるのではないか。スポーツイベントだけでなく、G7サミットのような首脳会議など全世界が注目されるような国際会議などが実施されることも重要になってくると思う。
そのほか、海外メディアによる積極的な情報発信も有益ではないかと考えている。例えば多くのアメリカ人は、少子化が進む日本で人口が最も伸びている都市が福岡市であることを知らないはず。なぜ人口が増え続けているのか。住みやすい環境や交通ネットワークの充実、起業化率が日本一であるなど福岡の良さを発信する機会があれば関心が高まることとなり、アメリカ企業からの投資も期待できる。