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コロナ禍のトンネル抜け、飛躍の1年に 高島宗一郎福岡市長
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週刊経済2023年12月26日発行号
新年インタビュー抜粋
高島宗一郎福岡市長は本誌1月号、「新年トップインタビュー」に応え、2023年の統括と新年の展望を語った。以下、インタビューを抜粋。
―まず、2023年を振り返って。
高島 コロナ禍という長いトンネルをようやく抜けて、人と活気が戻ってきた。そんな年を象徴するかのように、福岡市にとっても飛躍の1年になった。3月には、地下鉄七隈線が博多駅まで延伸開業した。振り返ると、市長に就任して僅か3カ月で地下鉄を天神南駅までで終えるのか、博多駅までつなぐのか、ベイエリアまで伸ばすのかという難しい決断を迫られ、博多駅までの延伸を決定した。工事の途中には博多駅前で大規模な陥没事故が発生したが、多くの皆さまにご協力いただき、地元企業の皆さんとワンチームになって、わずか1週間で道路を復旧させることができた。私にとって大変思い入れの強い事業であり、その完遂を見遂げることができたことは、非常に感慨深い。
6月には、リッツカールトン福岡が入る、福岡大名ガーデンシティがグランドオープンを迎えた。リッツカールトンは福岡市にとって念願の5つ星ホテルであり、福岡市のプレゼンス向上に大きく寄与するもの。産学官が一体となって進めている「TEAM FUKUOKA」による国際金融機能の誘致をはじめ、企業誘致活動にも大きな後押しになるはず。
―人流の面でも活気が戻ってきた。
高島 イベントやMICEの「4年ぶり再開」が相次ぎ、7月には世界水泳選手権およびマスターズ選手権が開催された。コロナ禍で二度の延期がありながらも、結果的に世界中から選手や観客をお迎えして開催することができた。福岡市は第3次産業が9割を占め、私はこの特徴を伸ばすべく、交流人口を増やすことを成長戦略の一つとして掲げてきた経緯がある。だからこそ、この1年でまちに人と活気が戻ってきたことを、何よりも嬉しく思っている。
―最近の新たな取り組みでは、特区を活用した「エンジニアビザ」を開始した。
高島 外国人エンジニアの就労ビザの審査期間を短縮する制度で、国家戦略特区で認められた全国初の取り組み。外国人エンジニアが日本で働く場合、入国前に出入国在留管理局による就労ビザの審査を受ける必要があるが、これは長ければ3か月ぐらいかかる。企業としては雇うつもりのエンジニアがいつから実際に戦力になってもらえるのか、見通しが立たない状況となってしまうので、こうした人材の採用のハードルを引き上げている側面があった。今回のエンジニアビザの制度により、外国人エンジニアを採用したい企業を福岡市が事前に確認・認定を行うことで、出入国在留管理局での審査期間をおよそ1か月まで大幅に短縮することができる。これを弾みに、エンジニアが集まって活躍する街を目指していきたい。
―2024年をどのような1年にしたいか。
高島 2024年も、現状に満足せず、次世代に明るい未来を残していくためのチャレンジを続けていくつもり。そして、先ほど話した西のゴールデンルートやエンジニアビザなどの前向きなチャレンジを福岡市だけで終わらせるのではなく、地方から日本全体に波及させていくことが私と福岡市の使命と考えている。
また、2024年はまちづくりの長期計画であるマスタープランを策定する年でもある。策定にあたっては、学生など未来を担う若者をはじめ、多くの市民の皆さまからご意見をいただいた。この新しいプランのもと、人と環境と都市活力がより高い次元で調和した街を目指し、これからチャレンジしていく。