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田辺三菱製薬と総額200億円超のライセンス契約 九大発ベンチャー・エディットフォース


週刊経済2022年7月20日発行

 九大発ベンチャー・エディットフォース㈱(福岡市中央区天神1丁目、小野高社長)は6月27日付で、国内大手製薬メーカー・田辺三菱製薬㈱(大阪市中央区道修町、上野裕明社長)と総額200億円超のライセンス契約を締結した。
同社は、県が久留米市を中心に産学官連携で取り組む「福岡バイオバレープロジェクト」の支援を受けて研究に取り組んできた独自のゲノム編集技術をもとに、約3年前から田辺三菱製薬㈱と医薬品の研究・開発・商業化に向けた共同研究を進めてきた。今後、田辺三菱製薬㈱がパーキンソン症候群やアルツハイマー型認知症など中枢神経系疾患分野での医薬品開発に際し、契約一時金や開発・販売の達成状況に応じ、同社にインセンティブが支払われることになり、成功裡に進ちょくした場合の支払額は総額200億円以上になるという。
今回の契約に合わせ、7月11日には小野社長と研究に携わった九州大学大学院農学研究院の中村崇裕社長は福岡県庁の服部誠太郎知事を表敬訪問、研究内容や契約締結の内容を報告。服部知事は「福岡バイオバレープロジェクトを進めている県としては大きな成果。“福岡県から世界へ”をキーワードにした施策を進める中、福岡を代表するバイオ産業として大きく飛躍してほしい」と激励した。
表敬訪問後、報道関係者への取材に応じた小野社長は「新薬開発のスパンが5年~10年単位といわれる中、3年で成果を出したことは大きい。ゲノム分野は米国系が中心となる中、九大発ベンチャーである当社がライセンス契約にこぎつけることができた。最大200億円規模のインセンティブは大きい。会社としてさらなるステップアップを図っていきたい」と語った。
同社は2015年5月設立。資本金は9千万円。九大大学院農学研究院の中村教授が取り組むゲノム編集技術や遺伝子発現を改変する技術(RNA編集技術)などの研究成果に基づき、植物の細胞内に存在するPPRといわれるタンパク質を改良し、DNAやRNAを自在に編集する技術を有している。今後、医薬品以外でも、農産物の品種改良、新素材、バイオ燃料など農業、化学の分野でも活動領域が広がることが期待されている。