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燃料費調整の期ずれが差益に転じ、2期ぶりに黒字転換 九州電力


週刊経済2024年5月15日発行号

経常、当期純利益ともに過去最高に

九州電力㈱(福岡市中央区渡辺通2丁目、池辺和弘社長)は4月30日、2024年3月期決算を発表、売上高は前年同期比3・7%減の2兆1394億4700万円で減収、経常利益は2381億6100万円、当期純利益は1664億4400万円と前期の赤字から黒字に転換した。
4期ぶりの減収、2期ぶりの黒字転換。小売販売電力量、卸売販売電力量ともに昨年度を下回ったことで減収となったものの、燃料価格の下落による燃料費調整の期ずれ影響が前年度の差損から差益に転じたことや、原子力発電所の稼働増による燃料費の減少、さらには卸売電力市場価格の下落によって、経常損益、当期純損益ともに大幅に改善した。1994年度の連結決算開始以降、過去最高だった04年度の実績(経常利益1599億円、当期純益892億円)を大きく上回り、過去最高益を更新した。セグメント別では、発電・販売事業の売上高が対前年比5・8%減の1兆8197億円、経常損益は前年度の1435億円の赤字から1475億円の黒字。送配電事業は売上高が同1・5%減の6984億円で経常利益は約3倍の413億円、海外事業が売上高は同7・5%減の57億円、経常利益は同19・9%増の53億円、その他エネルギーサービス事業は売上高が同14・7%増の2994億円、経常利益は同16%増の339億円、ICTサービス事業は売上高が10・1%増の1314億円、経常利益は同19・6%増の78億円、都市開発事業は売上高が同16・2%増の289億円、経常利益は同18・9%増の38億円だった。発受電に占める非化石燃料の割合は原子力発電が前年比13・5ポイント増の33・4%、太陽光など再生可能エネルギーが1・6ポイント増の26・7%と全体の約6割を占めている。
池辺和弘社長は「非常に良い決算だった。燃料費調整の期ずれ影響が差益に転じたこと。原子力が高稼働だったことによるものだが、現場の人たちが日頃からメンテナンスにしっかり取り組んでいること、昨年からROICを導入し、本店の人たちが利益率を考慮した仕事に取り組んできたことが大きい。皆さんの頑張りに感謝申し上げたい」とコメントした。25年3月期は売上高が前期比2・8%増の2兆2000億円、経常利益は同53・8%減の1100億円、当期純利益は同51・9%減の800万円の増収減益を見込んでいる。