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海外ITベンチャーなどのインキュベータ施設 テクニカル電子 5月中旬開設、総事業費は約5億円


 コイン式無人駐車場機器メーカーのテクニカル電子株式会社(福岡市南那の川二丁目、本房周作社長)は五月中旬、博多区博多駅前四丁目に海外ITベンチャー企業などを対象としたインキュベータ施設を開設した。総事業費は土地建物購入費、改装費などを含めて約五億円。
 昨年七月、本社ビル横に起業家育成支援施設「IBサポートセンター」を建設オープンしたが、同所は研修施設が中心で入居スペースがなかった。今回の施設では同センターから育ったベンチャー企業ほか、同社の海外取引先である韓国のITベンチャー、あるいは株式公開後に業績不振な国内ITベンチャー、商品力はあるが営業力がないベンチャー企業などを入居させる。海外ベンチャーに対しては、日本市場を開拓していく際の橋渡し役として、国内ITベンチャーに対しては、販路開拓や営業、資金面などで後押しする。
 名称は「IBセンタービル」で、場所は美野島北交差点近く。建物は 地下二階地上七階建てで、延べ床面積は二千百三・七九平方メートル。地下一~二階は十八台収容可能な立体駐車場、一階は展示場、外国語通訳を兼ねる受付・秘書代行、二階は四十人収容可能なサロン、二十人収容可能なプレゼンルーム、パソコン六台を常設したインターネットコーナー、三階は二十五平方メートルのインキュベーションルーム六室、四階は十二平方メートルのインキュベーションルーム十室、五階は多目的ホール、六階は入居ベンチャーの営業代行を実施する同社社員約五十人が常駐する新事業経営企画室、七階は応接室、大会議室となっている。インキュベーションルームには机、椅子、電話、書棚、ホワイトボード、会議用テーブルなどを備える。家賃は二十五平方メートルタイプが月十万円、十二平方メートルタイプが月五万円。ビル一棟全てがインキュベーション施設で、受付に通訳常駐の施設は国内でも初めてだという。
 本房社長は「海外や国内からベンチャー企業を発掘した後、まず展示会やマーケティング活動で市場の反応を確かめ、次に当社の研修施設で日本市場で営業展開していくための勉強会を実施。その後、今回のインキュベータ施設に入居させる。この一連の流れを確立し、ベンチャー企業とともに当社も成長していきたい」と話している。
 同社は一九八二年四月創業、八八年設立、資本金は一億四千四百万円、売上高は二十七億円、従業員数は七十人。親会社は株式公開企業の中央無線株式会社(東京都大田区、同社長)。
 本房社長は鹿児島県肝属郡串良町出身で、五一年十一月十日生まれの五十二歳。鹿児島電子工業高校卒、趣味は釣り。

2004.4.27 発行 週刊経済より