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法人・自治体向けにEVカーシェアリングサービス 新出光


週刊経済2023年1月24日発行

MFI推進室の新規事業第一弾

石油製品販売大手の㈱新出光(福岡市博多区上呉服町、出光泰典社長兼グループCEO)は1月17日、法人・自治体向けにEV(電気自動車)カーシェアリングサービス「idEV(イデブイ)」の提供を九州管内(沖縄・一部離島除く)で開始した。
これは、モビリティ分野の新規事業創出を推進するため昨年4月に設置した専門部署「MFI推進室」の新規事業第一弾。同年3月に法人・自治体向けのEV導入支援などを手掛ける㈱REXEV(レクシブ、東京都千代田区、渡部健社長)と業務提携し、EV関連事業サービス提供の準備を進めていた。idEVは契約先の社用車や公用車をEV化するとともに、その敷地内にEVステーションを開設し、平日昼間は公用車や社用車として利用し、夜間や土日祝日は社員・従業員や職員などが私用で利用できるといったクローズドシェアリングサービス。車両の効率活用だけでなく、充電管理や充電状況の見える化といったEVエネルギーマネジメントまでを担い、初めてEV導入を検討する場合でも安心して利用できるよう同社グループでトータルサポートする。
idEVにはREXEVが培ってきたEVカーシェア特有のノウハウを提供するほか、EV車両管理、電力マネジメント、カーシェアリングのシステムを統合した独自のプラットフォームをベースに新出光専用のEVカーシェアシステムやユーザー向けWeb・スマホアプリを提供。導入先はガソリン車をEVに置き換えることで脱炭素化に取り組むことができ、EVシェアリングシステムの導入で車両の効率的な運用と管理業務の削減が図れる。また、EVを蓄電池と捉え、停電時には蓄えた電力を利用するなどBCP対策も強化できる。EV導入の検討時に電気料金の上昇を懸念するケースが多いが、ピークを回避した充電・放電制御を利用することで料金上昇を抑えることができ、施設の電気使用量のピークが発生する時間帯を予測し、蓄えたEVの電力を施設へ供給することでコストを抑え無駄なく電力を利用することができるという。
同社では2022年度から始動した3カ年の新中期経営計画で、石油、自動車、電力、オフィス、食と暮らし、不動産の6事業それぞれの成長を図っている。特に成長戦略を加速する自動車事業では、脱炭素の流れが加速する中、2040年にはSSでの燃料販売が7割減少するという前提のもと、それでもSSがインフラとして成り立つべく自動車事業の裾野拡大を図っている。昨年11月には福岡市内で一般向けにEVスクーターのシェアリングサービス事業「ラクすく」を開始している。