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民間初のレアメタル回収を事業化  日本磁力選鉱    北九州に新工場建設へ


 鉄鋼関連、資源リサイクルの日本磁力選鉱株式会社(北九州市小倉北区馬借3丁目、原田光久社長)は来年5月上旬の完成をめどに、同市若松区向洋町の同社びびき工場に携帯電話や小型電子機器などからレアメタルや貴金属類を回収する工場を建設する。総投資額は約2億1千万円。
 同社は08年から北九州市やソニーと共同で、携帯電話や小型電子機器を回収する社会実験に参加し、レアメタル、貴金属回収技術を北九州市と開発するなど実績を上げてきた。その研究内容を事業化するため申請した、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「希少金属代替・削減技術実用化開発助成事業」に今年3月に採択され、助成金1億円を受け工場を建設する。
 場所は北九州エコタウン(同)にあるひびき工場の敷地内で、着工は8月下旬。敷地面積は約24百平方m、平屋建て延べ床面積は約千平方m。民間企業主体の事業化は全国初の試みで、独自の破砕、選別技術で中間処理したレアメタルなどを精錬メーカーに販売する。同社では、同所にパイロットプラントを建設し、実証実験を行った後、事業として立ち上げ、携帯電話や小型電子機器などからレアメタルや貴金属、ベースメタルを回収するリサイクル事業拠点をつくる。売り上げ目標は12年度が約4千万円、14年度が約5千万円で単年度黒字化を目指す。事業化に伴い、同社は小型電子機器や基盤類を九州一円から調達する方針で、将来的にはインドなど海外からの輸入も検討している。
 同社は1949年2月設立。資本金は4億4860万円。従業員数は407人。10年9月期の売上高は125億2799万円。1971年に八幡製鐡所で発生するスラグを処理する技術を開発。現在の年間製鉄スラグ処理量は約350万トンで、全国の約3割を占め、業界トップシェアを誇る。