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次世代の公共交通体系を見据え業務提携 JR九州と第一交通産業


将来のMaaS視野に

九州旅客鉄道㈱(福岡市博多区博多駅前3丁目、青柳俊彦社長)と第一交通産業㈱(北九州市小倉北区馬借2丁目、田中亮一郎社長・以下第一交通)は5月30日、両社の輸送サービスを連携し、より利便性の高い使いやすい公共交通サービスの実現のため業務提携契約を結んだ。
鉄道の高速・大量輸送サービスとタクシーのきめ細かい個別輸送サービスを組み合わせ、顧客ニーズによりマッチする公共交通サービスの実現を目指す。また、将来のMaaSによる一体的なモビリティサービスの展開を見据え検討を進めていく。第一交通の本社ビルで開いた会見で、青柳社長は特にMaaSについて「今、まさにMaasの時代と言われているが、具体的に出来上がったものはまだ1つもない。これからお互いに知恵を出し合い、MaaS時代に向けてチャレンジしていきたい」と抱負を語った。一方、田中社長も「九州は観光客やインバウンドが増える一方で、災害や高齢化などの課題を抱えており、大量輸送機関と個別輸送機関が組むことでこうした課題にも対応できる」と期待感を示した。また、今秋導入予定のタクシーの事前確定運賃制度に触れ、積極的に取り組む姿勢を示した。実現すれば、両社のアプリと連携して列車からタクシー、宿泊まで予約・決済する仕組みが可能となる。具体的な取り組みはこれからだが、両社とも「できることから始めよう」という考えで一致。多様な交通形態を一体的に利用できるように利便性を高めることを基本に、新たな公共交通ネットワークの構築を目指す。なお、MaaS(マース Mobility as a Service)は、ITCを活用し運営主体を問わずマイカー以外の全ての交通手段による移動を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな『移動』の概念を示す。

提携第1弾でキャンペーンを展開

また、両社は今回の業務提携の第1弾として、JR九州の交通系ICカード「SUGOCA(スゴカ)」を活用して列車とタクシーの利用促進を図るキャンペーンを6月1日から始めた。
両社のインターネット予約サービスの利便性のPRと利用促進を図るもので、JR九州のサイトのキャンペーンページにエントリーした上でインターネット列車予約を実行。福岡、熊本、鹿児島地区で第一交通のタクシーを利用し、おまとめ登録したSUGOCAの電子マネーで乗車料金を支払うと抽選で500人に「JRキューポ」1000ポイントを付与する。名称は「ネット列車予約×SUGOCAでタクシーに乗ろう」キャンペーンで、8月末まで展開する。

2019年6月25日発行