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業務革新の成果を新たな事業拡大に 西日本FHの村上社長


週刊経済2022年9月6日発行

1千人分の事務量削減など成果

㈱西日本フィナンシャルホールディングスの村上英之社長(西日本シティ銀行頭取)はこのほど、ふくおか経済インタビューに応じ、ラストスパートを迎えた現在の中期経営計画の進ちょく状況について、「戦略が計数にも反映された」と高く評価、これをもとに創業支援やESG、SDGs関連の事業拡大に強い意欲を示した。主なやり取りは次の通り。
―ラストスパートを迎えた現中計について。
村上 前期決算の数字を見ても、順調あるいは計画を上回る結果を残すことができた。デジタル化をはじめ、業務革新や有価証券運用力の強化、それからESG関連の対応も比較的に順調に進んでいる。
特に業務革新については、18年4月の開始以降、デジタル化などを着実に進める一方、重点分野への人員再配置に取り組んできた。その結果、今年3月末現在、重点分野に再配置した人員数は160人となり、計算上では1千人分を越える事務量の削減につながった。OHR(経費率)についても、18年3月期と比べて、6ポイント以上改善、前年度末までに64%台まで引き下げたのは大きかった。
―創業支援の取り組みは。
村上 5月には創業応援サロンがある大名支店ビル5階と6階にコワーキングスペース「The Company DAIMYO」を新設した。同ビルにはNCBベンチャーキャピタルもあり、大名支店ビルそのものがワンストップで操業を支援する拠点としての機能を拡充させている。
また、ファンドも拡充しており、QB第2号ファンドでは、㈱産業革新機構の出資もあり、総額約70億円となった。これは九州・中四国において最大規模の大学発ベンチャー支援ファンドとなる。そのほか、スタートアップ企業の支援事業をはじめ、グループの西日本シティTT証券では、4月から福岡証券取引所への上場を目指す企業を支援するための主幹事業務をスタートさせている。
―SDGs、ESGの取り組みについて。
村上 昨年から準備を進めてきた。3月には、SDGs、ESGを進めるにあたっての目標となる「サステナブルファイナンス実行額目標」を策定し、これらに資する融資や投資などの実行目標額を2030年度までに累計2兆円に設定している。
融資の実績についても、現中計のKPI(重要業績評価指標)のうち、SDGs関連商品の取り組み目標件数を200件に設定していたが、3月末時点で目標の約5倍にあたる1046件まで大幅に増加した。SDGs応援ローンの取り扱い開始が大きく寄与しており、3月末時点での実行件数は累計で893件、融資額は320億円に達している。