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来年4月HD体制始動、事業効率化進める  西部ガス・道永社長


ガス事業はエリアごとの新会社へ

西部ガス㈱(福岡市博多区千代1丁目)の道永幸典社長は、ふくおか経済1月号の新年抱負インタビューで、中期経営計画「スクラム2022」がスタートした2020年の取り組みを振り返り、4月のホールディングス体制移行など新年の方針を示した。主な内容は次の通り。
―2020年は新型コロナウイルスが猛威をふるった1年だった。事業への影響は。
道永 第2四半期のガス販売量では、家庭用が新型コロナの影響で在宅時間が増えたことなどから前年同期比5・2%増となったが、業務用は飲食店やホテル需要の大幅減の影響で同14%減となった。
―通期の見通しは。
道永 国内の新型コロナ感染者の動向を鑑みると、年度末までのガス販売量回復は難しいと見ている。一方で、新規需要開発が一定程度あることや、今年の冬は暖冬ではなく通常の冬季並みに冷え込むという予測から、連結売上高はほぼ前年並みの1910億円、経常利益は40億円の見通し。
―今年度からスタートした中期経営計画「スクラム2022」の状況は。
道永 ガスエネルギーを中核に、不動産事業をはじめとするその他の事業拡大にも注力している。ガスエネルギー事業では、ひびきLNG基地(北九州市)から福岡地区方面に都市ガスを送出する2本目の高圧パイプライン「九州北部幹線」が完成、12月から全面運用を開始した。安定供給能力が飛躍的に向上するとともに、ひびきLNG基地の建設から始まった一連の広域供給体制の整備が完了した。国内はもとより海外需要開拓にも注力していく。
不動産事業はガスエネルギーに次ぐ収益の柱として成長させることを目標に掲げている。その一環で、10月には不動産関連業務をグループの西部ガス都市開発㈱に集約した。現在は戸建て・マンション分譲事業の売上高比率が高い状況だが、より安定した事業へと成長させるべく、比較的景気変動などの影響を受けにくい賃貸事業の割合を高めていきたい。
―来年4月にはホールディングス体制に移行する。
道永 事業多角化が進む中、全体の戦略策定や事業活動の管理・統制に専念するホールディングスを置くことで、グループの経営体制強化につながると考えている。ガスエネルギー事業ではエリアを福岡・北九州、熊本、長崎、佐世保に分け、それぞれ設立する新会社に事業を承継する。これにより地域特性に応じた効率的な事業運営を目指す。

2020年12月22日発行