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有観客の世界体操、ワクチン検査パッケージの成功例に 北九州市


週刊経済2021年11月23日発行

期間中関係者の感染は3人のみ

北九州市の北橋健治市長は11月4日の定例会見で、10月末に閉幕した「世界体操・新体操選手権大会」について、「有観客イベントの成功例になった」と統括した。
同大会は、コロナ禍の影響で他国での開催が断念されたことで、昨年急遽、同市での開催が決まったもの。10月18~24日に世界体操が北九州市立総合体育館で、同月27~31日に西日本総合展示場新館でそれぞれ開催した。約60カ国、計約1300人の選手・関係者が参加。原則無観客だった東京オリンピック・パラリンピックと異なり、感染者の減少傾向を反映して「100%有観客」開催に踏み切った。感染対策の一環で、政府が打ち出した「ワクチン検査パッケージ」を、実証実験で初めて導入した大規模イベントとなり、ワクチン接種証明や72時間以内の陰性証明と身分証の持参を、入場の条件とした。また、選手の行動範囲を会場と宿泊施設のみに限定し、外部の接触を避ける「バブル方式」も採用された。
期間中は両大会を通じ、延べ約2万7千人が会場に訪れた。そのうち書類などの持参がないなどで46人の入場を断ったが、うち25人は改めて書類を準備して入場した。現在までに、入場者の感染報告は受けていないという。また、選手・関係者で感染が確認されたのは5人で、うち2人は訪日時の空港の検疫で発覚。市内での感染確認は3人のみだった。また、バブル方式で制約が多く、選手のストレスが溜まる点を考慮し、ミクニワールドスタジアムなどの会場近くの施設を開放し、練習に活用できるようにしたほか市の文化体験なども実施し、柔軟に対応した。
北橋市長は「ワクチン検査パッケージは初めての取り組みではあるが、大きな混乱もなく対応できた。バブル方式の柔軟な対応も含め、成果と課題を政府に報告したい」と話している。