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市政1周年、1日も休まず「転換と挑戦」にまい進 武内和久北九州市長


週刊経済2024年4月3日発行号

特別インタビュー抜粋

北九州市の武内和久市長は、本誌4月号「特別インタビュー」に応え、市政1周年を迎えた統括や2年目の戦略を語った。以下、インタビューを抜粋。
―昨年2月の市長就任からちょうど1年が経過した。
武内 まず、就任直後から北九州市の持つさまざまな「ポテンシャル」の高さを知り、良い意味でショックを受けた。工業都市の歴史の中で磨かれてきた高いモノづくりの技術、充実した陸海空の交通インフラと良好なアクセス、地震をはじめとする災害への高い対応力、そのほか豊かな自然やまちのあちこちに残る歴史など、どこを切っても非常に高いポテンシャルを備えていて、これまで衰退に直面していたのが信じられないくらい、多様な魅力に溢れている。このポテンシャルに火をつけ、さらに強化・進化させていくことが私の使命だと再認識し、就任初年度はとにかく「転換(チェンジ)と挑戦(チャレンジ)」にひたすらまい進した1年となった。改めて振り返ると、就任からの1年間は、土日を含めて1日も休みを設けなかった。ひたすら市内を駆け回って政策判断のカギとなる市民の声を集め、市役所に帰ると必要な施策等を講じるための準備に没頭してきた。
―空港の整備や新たな産業の誘致など、従来の北九州市のイメージを転換するような動きが目立った。
武内 新たな戦略の下、北九州市の産業・経済構造が、次のステージに転換するためのスタートラインに立つことができたと思う。重要なキーワードとして、今まさに北九州市は、さまざまな産業やビジネスが「ハイブリッド化」で進化する過渡期を迎えており、製造業を中心としたモノづくりのまちという素地に対し、どのような強みを掛け合わせていくのか、その戦略観が問われる局面に差し掛かっている。就任間もない頃から、北九州空港を中心とした陸海空の物流機能強化や、洋上風力をはじめとするクリーンエネルギーの産業集積などに力を注ぐ理由は、まさにハイブリッドで掛け合わせる素材として最適だと考えているから。その観点では、初年度からさまざまな大型案件の前進が見られた。北九州空港の滑走路3千m化の決定と着工、響灘洋上ウインドファームの着工などが、代表的な事例に挙げられる。
また、ハードとソフトの融合やデジタルの積極活用、そしてバックアップ都市としての役割なども、ハイブリッド化を前提とした新たな成長戦略にとって、重要な位置付け。昨年の動きで見ると、米国のアジア・パシフィック・ランドグループが約1250億円を投じて北九州市に大規模データセンターを建設する計画が決まったほか、GMOインターネットグループもさらなる拠点機能の拡大に舵を切っており、今年6月には新たなインテリジェントビルの「ビジア小倉」が完成し、後続のオフィスビル開発の動きも浮上するなど、北九州市を舞台とした新たなビジネスの潮流が生まれ始めている。
―就任以降、特に企業誘致の成果が目覚ましい。
武内 企業誘致における投資額は、過去最高の2565億円。「稼げるまち」に向かって、しっかり立地を進め雇用を増やしていくことで、一定の数字を出すことができたと評価している。また、北九州港のフェリー貨物量も5040万トンで過去最高を更新した。空港だけでなく、北九州市は陸海空すべての交通インフラがあることで、物流拠点のハブとして大いに機能しており、その成果がフェリーの貨物量に表れた形だと見ている。