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大学改革の学部再編経て志望者数2万人超え  九州産業大学榊学長


就職率は99%超に

九州産業大学(福岡市東区松香台)の榊泰輔学長は本誌6月号・表紙の人のインタビューに応え、大学改革の成果や新型コロナウイルスを受けた緊急支援などについて話した。以下、インタビューを抜粋。
―今年は開学60周年を迎える。
榊 記念すべき年にするためにさまざまな記念事業を準備してきたが、残念ながら新型コロナウイルス感染拡大の影響で計画の見直しを余儀なくされている。3月には記念事業の一環で建設された総合スポーツ施設「大楠アリーナ」が竣工したが、竣工式は大幅に規模を縮小せざるを得なかった。記念事業に限らず、学校運営のあらゆる場面で新型コロナへの対応が求められる局面を迎えており、リーダーシップの重さや難しさを改めて実感している。
―大学改革が大きな成果を挙げている。
榊 志望者数や就職率の大幅な落ち込みを受け、12年から段階的に取り組んできたもので、16年度から今年度までは仕上げの段階として、文理芸の全学にまたがる学部再編に取り組んできた。社会のニーズをくみ取り、さまざまな九州初の新学部・新学科を開設して専門性を高めた結果、志望者数は改革前に比べての約3倍、2万人を超えた。本学にとって23年ぶりの大台突破。また就職率は全学部ベースで99・2と100%に迫る水準に達している。日経キャリアマガジンの大学イメージ調査でも九州地区で3位、私大では1位という評価を頂き、あらゆる面で外部の評価が高まっている。
―新型コロナウイルスへの対策については。
榊 1月末に危機管理対策本部を発足し、学位授与式の中止、学内への入構禁止措置やオンラインによる遠隔授業の環境整備などに取り組んできた。5月には、総額5億円の緊急支援を取りまとめた。遠隔授業の環境整備費用として全学生に一律3万円をはじめ、アルバイトができずに生活が困窮した学生などに向けた家計急変給付金に2万円、教科書・教材の購入補助に1万円を支給し、学生の生活支援に全力を挙げている。授業再開後もリスクマネジメントの基準に応じ、3密を避ける対策を講じていきたい。
―周年を機とした今後の展望について。
榊 「ポストコロナ」の社会の在り方について、全学部からアイデアを募りたいと考えている。この未曽有のピンチを乗り切り、何か何らかの形で、チャンスに変えていくことが大切。また、昨年に「100周年ビジョン」を新たに策定したので、開学100周年の将来を見据えた長期的な取り組みをスタートさせていきたい。

2020年5月26日発行