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売上高は3・9%減の3765億円 九電工


週刊経済2022年5月17日発行

改善対策実り3期ぶり増益

設備工事業大手の㈱九電工(福岡市南区那の川、佐藤尚文社長)の22年3月期連結決算は、売上高は前期比3・9%減の3765億6300万円、経常利益は同2・6%増の368億2800万円で減収増益だった。
コロナ禍の影響などで2期連続の減収となった一方、収益性の改善策が奏功し、利益指標は3期ぶりの増益に転じたほか、工事受注高は同15・5%増の3754億7400万円で2期ぶりに増加した。売上高については、主力の設備工事業において工程の初期段階にある施工案件が比較的多いことに加え、世界的な資材不足の影響を受けた調達の遅れにより、工事の進ちょくが伸びにくい状況であったこと、また大型太陽光工事の着工遅れなどが、連結減収に影響した。一方で利益面については、重点的に取り組んできた利益率改善対策の再徹底と、本社の技術管理部がデジタル技術を活用し、現場と一体となった施工管理と利益アップを目指した結果、減収ながらも利益指標は増益となった。最終利益は同4・7%増の262億1600万円だった。また、工事受注高については、コロナ禍の影響で発注が延期された案件の受注が進んだことに加え、福岡市都心部の大型再開発、九州における半導体部品生産に向けた大型投資など、地元九州の開発プロジェクトからの受注が旺盛だったという。
今期の業績予想は、売上高は前期比22・2%増の4600億円、経常利益は同0・5%増の370億円で大幅増収・微増益を見込む。佐藤社長は会見で「21年3月期は、コロナ禍の影響に伴うイレギュラーな人件費などが利益を圧迫していたが、前期は工程管理を見直してそうした負担を大幅に削減できた」と収益改善への手応えを語る一方、「今期は手持ち工事が豊富な一方で、不安定な世界情勢の影響もあり、資材価格の値上がりや納期の遅延が収益を圧迫する可能性を不安視している」と利益面の予想値を抑えた背景を説明した。