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増収増益企業は11社減の39社に  地場主要企業105社決算概況    今期業績に不透明感


 株式会社地域情報センターは、年商50億円以上の地場主要企業105社の直近決算概況をまとめた。前年との比較では、増収増益企業が11社減って39社、逆に減収減益は12社から14社に増えた。また、増収企業は78社から73社、増益企業も65社から52社に減少、一方、減収企業は27社から26社、減益企業は37社から11社増えて48社となった。
 減益要因として特に目立ったのは原油高に伴う原材料、燃料などのコスト増。加えて株安・円高、また耐震偽装問題以降の建築基準法適用厳格化は住宅設備機器、不動産関係の売上高が伸び悩む要因となった。業種別に見ると、電力・ガスは原油高騰が続き、コスト増大が利益を圧迫して連続の増収減益。百貨店は、井筒屋、博多大丸は減益、岩田屋も予想を大幅に下回る利益だった。銀行は、西日本シティ銀行など、資金調達コストの増大などが利益を圧迫した。量販店・専門店では、ナフコ、ミスターマックスなど新規出店で揃って増収となった、出店費用などコストの増大によって減益企業が増えている。スーパーは、他の業態に比べコスト対応が先行しており、サンリブ、マックスバリュ九州、マルキョウ、丸和など利益確保も進んでいる傾向。電気機器メーカーでは、安川電機は増収増益で過去最高の業績となったが、三井ハイテック、日本タングステンなどは原材料価格高騰が影響して減益。窯業のTOTO、黒崎播磨はともに減益。TOTOは新規住宅着工の減少が直接的に響いた。食品メーカーでは、鳥越製粉など価格転嫁をスムーズに進めて増収増益を確保したが、全体的にはコスト増が利益を圧迫した。その他メーカーでは、トヨタ自動車九州が九州電力に次いで売上高1兆円を達成したが、設備投資の減価償却費が影響して減益。素材関連もコスト増で減益になっている。飲食は増収となったが、プレナスは新ブランド「ほっともっと」への変換費用が響いて減益。原材料費の高騰も影響した。情報通信では増収基調に陰りも見え、NTTドコモ九州と安川情報システムは売上高の減少によって減益となった。建設関連は、すべて増益または赤字縮小。運輸は全般的には燃料費の高騰が利益を圧迫する形になった。卸売では、建築資材の越智産業は改正建築基準法が影響して減収減益。ほかにも先行投資の拡大や公共投資削減が影響して減益企業が増えた。サービスでは各方面でコストが増加して減益企業が増えた。不動産も改正建築基準法や建築コスト増大が収益を圧迫した。テレビ局では、デジタル放送設備投資を先行させた福岡放送が増益に転じた。広告関連では電通九州が増収増益を確保したが、今期、九州域内の広告出稿は原油高や円高などの影響で厳しい状況が続くと予想している。
 今期の業績見込みでは、増収予想は71社、増益予想は58社、また、増収増益予想は50社。しかし、昨年49社が増収増益を予想し、結果的に増収増益を達成したのは39社だったことや、6月16日に経産省が九州地区を含め地域経済動向を下方修正したことなどから、地場企業各社の業績予想には不透明感が漂っている。
 ※詳細は「ふくおか経済」08年7月号に掲載。