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基山町や久留米大と地域の健康増進に取り組む協議会 NTTデータ九州


週刊経済2021年2月2日発行

ITを軸に6団体で産官学連携

情報通信システム開発の㈱NTTデータ九州(福岡市博多区博多駅前1丁目、佐藤歩社長)は12月25日、佐賀県基山町(松田一也町長)や久留米大学(久留米市、内村直尚学長)など6団体で産官学連携による地域の健康増進や活性化に取り組む協議会を発足した。
これはすでに包括的な連携協定を結ぶ基山町と久留米大学が、さらに健康増進・地域活性のため、NTTデータ九州が提唱する「ファストケア構想」を採用し、地域住民の健康に関する気付きや取り組み促進、企業と連携した地域活性化施策の検討などに取り組むもの。より円滑な推進に向けて、医療現場との連携を支援する一般社団法人鳥栖三養基医師会(佐賀県鳥栖市、原田良策会長)、治験ノウハウによるデータマネージメントを担う㈱アイロムCS(福岡市、森豊隆社長)、健康に関するデータを取り扱うブロックチェーン型流通基盤やAI分析を手掛ける㈱OKEIOS(同市、中村高歩社長)が加わった。
NTTデータ九州が提唱するファストケア構想は、“健康”だけではなく、“生きがい”や “自立”を含めたQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の向上を目標とする地域密着型のヘルスケアエコシステム。これまで別々に施策を講じていたITとリアルを融合させることで、手軽で持続的な働きかけによる能動的なセルフメディケーション(健康の自己管理と増進)や、QOL向上のための地域の事業連携による地域経済活性化の実現を目指している。
協議会では、①基山町協力のもと収集する町民の健康に関する情報(主に国保被保険者の健診情報、レセプト情報など)のAI分析で得られる健康リスクの見える化、②「通いの場」(リアル拠点)とオンラインを駆使した交流で生まれる利用者と基山町など健康増進の支援者とのパートナーシップによる利用者のモチベーションの維持・向上、③健康への取り組みへ付与するポイントなどで形成する地域トークンエコノミーの流通による健康価値の創出と地域活性化―など、地域住民が健康増進への取り組みを無理なく持続でき、地域活性化にもつながる仕組み作りを推進していく。リアル拠点利用では、予約システムや混雑通知サービスなどを導入し、三密を避けて安心・安全に利用できる健康増進の拠点として活用する。
協議会では、今年度内の実証実験開始を目指して検討を進めている。NTTデータ九州ビジネス共創部クロスイノベーション推進室の土橋良二室長は「ファストケア構想は元々、2019年に開催したピッチイベントでの提案から始まった事業。ITを軸として通いの場や地域と相互に連携し、利用者に寄り添うことで持続するヘルスケアエコシステムで、住民の方々の健康寿命を延ばすとともに、社会保障費の軽減にもつなげていく狙いがある。実証実験を通して、住民の方々の満足度を高めていき、全国展開も視野に入れていきたい」と話している。