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国際線ターミナルの増改築工事に着手 福岡国際空港


週刊経済2022年6月21日発行

総事業費約500億円、24年度末完成

福岡空港を一体運営する福岡国際空港㈱(=FIAC=永竿哲哉社長)は5月20日、国際線ターミナル増改築工事に着手した。総事業費は約500億円。増設滑走路が供用する2024年度内の完成を目指す。
1999年に供用を開始した現在の国際線ターミナルは当初、年間250万人台の利用者で推移してきたが、格安航空会社(LCC)の乗り入れが活発になった2012年度に300万人を超え、コロナ禍前の19年度には年間利用者が690万人と3倍以上に増加したことから、ターミナル施設の狭隘(きょうあい)化が課題とされてきた。国による滑走路増設に合わせ、ターミナルの増改築が計画されていた。依然としてコロナ禍が続き、FIACを取り巻く経営環境は依然として厳しいものの、滑走路増設事業が進んでいることや、国による水際対策が緩和され、外国人の受け入れが拡大することなどを背景に、工事に着手した。今回の工事では既存施設の大幅改修のほか、北側エリアを増築し、ターミナルの容量を拡大する。計画では3階の出発ロビーを拡張し、自動手荷物預け機を新設するほか、出国ゲート通過後の免税店エリアを現在の約1500㎡から約6千㎡に拡充する。また、現在はバス利用で航空機に乗降する北側エプロンにボーディングブリッジ(旅客搭乗橋)を備えたコンコースを新設、ターミナルから航空機へのスムーズな動線を確保する。そのほか、1階はアクセスホールとして到着ロビーの増床を図り、2次交通機能を向上させるほか、国内線ターミナルを結ぶ連絡バスの専用道路や立体駐車場なども新設する。増改築終了後の延べ床面積は現在の約2倍にあたる約13万6千㎡。FIACが目標とする「比類なき東・東南アジアの航空ネットワークを有する、東アジアトップクラスの国際空港」として、年間1600万人に対応できる国際線ターミナルを目指す。
20日に行われた起工式では、FIACや国、工事関係者らが神事に臨み、工事の安全を祈願した。神事終了後、あいさつしたFIACの永竿社長は「増改築後のターミナルビルは現在の約2倍の大きさ。国の滑走路増設事業が進む中、中長期的に増加が見込めるインバウンドに対応できる国際線ターミナルを目指していきたい」と述べ、来賓で出席した国土交通省大阪航空局の小池慎一郎局長は「コロナ禍で厳しい状況の中、需要回復を見据えて増改築工事に着手したことに敬意を表したい。年間1600万人を受け入れる空港として東アジアでトップクラスになることを期待したい。国としても増設滑走路、CIQ施設の整備などで全面的にバックアップしたい」と祝辞を述べた。

21%増収も177億円の営業赤字

同社の22年3月期決算は、営業収益が前期比21・1%増の177億円、営業損益は173億円の赤字(前期は216億円の赤字)だった。
コロナ禍以降、旅客数の大幅な減少局面が続いている。21年度の旅客数は、国内線が前年度比45・6%増の944万人、国際線が52・9%増の2万6千人と前年度に比べ回復を見せたが、コロナ禍前の18年度との比較では、国内線は47・3%減、国際線は99・6%減と依然として厳しい状況が続く。これを反映し、営業収益も空港運営事業収入(59億円)、不動産収入(94億円)、その他収入(22億円)のいずれも増加したものの、利益指標はいずれも赤字となった。
今期の計画では、営業収益は前期比36・7%増の242億円、営業損益は70億円の赤字、最終損益は147億円の赤字を見込む。旅客数は、国内線が同46・2%増の1380万人、国際線が同50倍の130万人を見込む。6月から外国人観光客の受け入れが団体客限定などで再開し始めており、国際線の旅客増が期待される。