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受注好調で売上高18・5%増の4690億円 九電工


週刊経済2024年5月8日発行号

売上高、利益ともに過去最高

設備工事業大手の㈱九電工(福岡市南区那の川1丁目、石橋和幸社長)の24年3月期連結決算は、売上高は前期比18・5%増の4690億5700万円、経常利益は同19・5%増の423億6200万円で増収増益となり、過去最高業績を更新した。
電設工事の受注環境は依然として旺盛で、前期も過去最高の仕掛工事量を抱え、売上高と主要な利益指標はいずれも過去最高となった。多岐にわたるコスト上昇や時間外労働の上限規制「2024年問題」への対応など、建設業界ではさまざまな経営課題が顕在化しているが、従前から取り組んできた価格転嫁や効率化に向けた施策が円滑に機能したことで、当初予想を上回る業績水準につなげた。一方、工事受注高は前期比0・1%増の4408億6400万円でほぼ横ばいだったが、2024年問題への対応を見据え、施工戦力との折り合いで受注を調整した結果という。営業利益は同18・5%増の380億1600万円、最終利益は同6・3%増の280億1700万円だった。
セグメント別では、主力の設備工事業の売上高は同19・0%増の4526億2300万円、セグメント利益は同20・1%増の347億700万円。都市開発や半導体工場、物流施設、データセンターなどの旺盛な設備需要を背景に、過去最高の仕掛工事量と堅実な受注実績が業績をけん引。売上、利益ともに過去最高となった。その他事業の売上高は同6・5%増164億3300万円、セグメント利益は同7・4%増の32億4000万円。不動産販売の増加が業績増につながった。
今期の業績予想は、売上高は前期比6・6%増の5000億円、経常利益は同1・5%増の430億円、最終利益は同3・5%増の290億円で、いずれも過去最高を更新する見通し。石橋社長は受注高が横ばいであった理由について「受注環境は依然として非常に良好なので、さらに仕事を増やすこともできるが、今の施工戦力と時間外労働上限規制への対応を見据え、現場に無理が出ない仕事量に調整している」と説明。また、4月からスタートしている時間外労働の上限規制への対応状況については「予定する労働時間がオーバーするとアラームで警告するなど、社員一人一人に対し『残業をしない』意識改革の徹底を図っており、ゼネコン等の協力の甲斐もあって、今のところ大きな問題もなく推移している」と話している。