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博多駅線路上の「博多駅空中都市プロジェクト」始動 JR九州


週刊経済2022年3月29日発行

オフィス・ホテル主体の12階建てビル

九州旅客鉄道㈱(福岡市博多区博多駅前3丁目、青柳俊彦社長)は3月16日、検討を進めていた「博多駅空中都市構想」を「博多駅空中都市プロジェクト」として始動することを発表した。
博多駅の線路上の空間を立体的に活用する大型開発プロジェクトで、在来線8線のうち1番~6番線をまたぐ形で複合ビルを建設する。敷地面積は約5200㎡で、建物は地下1階・地上12階建てを想定。コンセプトは「国際ビジネス都市・国際観光都市に相応しい機能を備えた最先端複合ビル」で、1階が商業施設、2階部分を在来線が走り、3~8階がオフィス、9~12階にホテルを計画している。主体となるオフィスでは、駅直結の利便性を打ち出すほか、博多駅周辺で最大規模の基準階面積約1千坪を確保し、同一フロアへの集約を希望する需要に応える。BCPや感染症対策に加え、働き方の多様化などの動きを見極めながら、詳細を検討していく。ホテルは全室35㎡以上のラグジュアリーホテルを計画しており、外資系高級ホテルを軸に検討を進めるという。ビル全体では「脱炭素時代」に合致する環境性能を取り入れ、グリーン電源や再生可能エネルギーの活用などに加え、高効率機器の導入、緑化、木質化の推進を図る。
プロジェクトでは、福岡市が博多駅周辺の機能更新を推進する「博多コネクティッド」を活用する方針で、博多コネクティッドの目的でもある周辺の回遊性向上とにぎわい創出のため、博多口と筑紫口を結ぶ新たな動線を設置。1階の道路に面する部分に広場を設け、イベントやアートなどの文化発信にも取り組むという。博多コネクティッドの期限でもある2028年末の完成を目指し、2023年度中に着工する見通し。
青柳社長は「9月の西九州新幹線開業や、来年3月の市営地下鉄七隈線の乗り入れで、博多駅がますます大きな役割を担う。在来線は1日に約800本運行しており、鉄道の安全輸送を確保した上での長期かつ難しい工事になるが、グループ一丸となって進めていきたい」、会見に出席した高島宗一郎市長は、2028年までに20棟の更新を進める博多コネクティッドの状況を「15棟の建築確認申請が出ており、7棟が完成済み」と説明し、「今回のプロジェクトは、博多コネクティッドの強力な推進につながる。市としてもさまざまな部分で連携し、円滑に工事を進めていけるよう惜しみなく協力していきたい」と話した。