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初期費用ゼロの太陽光発電システム事業  新出光


21年度までに供給量26MWの受注目標

石油製品販売大手の㈱新出光(福岡市博多区上呉服町、出光泰典社長兼グループCEO)は、企業(電力消費者)に太陽光パネルシステムを無償で設置する第三者所有モデルの太陽光発電システム事業「0plan(ゼロプラン)」を今年度から本格開始した。
第三者所有モデルでは、初期費用や維持管理費などがかからず再生可能エネルギーを導入しやすいというメリットだけではなく、基本的には売電目的ではなく、電気代の低減を目的とした自家消費を促す仕組みのため、送電系統に負担をかけずに再エネルギーを増やしていけるメリットがある。同社では太陽光発電設備の固定価格買取制度(FIT)終了後を視野に、同プランの営業を2019年度から開始。今年3月には自社物件以外では第1号となる、食肉加工業の㈱エム・ケイ食品(鞍手郡鞍手町、永友浩二社長)とFA装置・医療機器開発・製造㈱オートシステム志摩工場(福岡市西区、徳安健司社長)への太陽光パネル(両社ともに88・56kW)設置工事を行い、4月から発電を開始した。すでに19年度に両社を含め32件、太陽光パネル供給量4MWを受注しており、現中期経営計画の最終年となる21年度までに約200件、太陽光パネル供給量26MWの受注を目指す。
0planでは、導入先の屋根の上に新出光が太陽光パネルを無償で設置し、不具合があった時の保守やメンテナンスの費用も全て負担する。パネル設置に伴い、屋根の劣化低減や遮熱効果メリットも見込めるという。その太陽光パネルには専業メーカーであり国内で一貫生産するソーラーフロンティア社製を使用。同社と共同開発した「計量法に基づいた遠隔計測システム」によって太陽光で発電した電気を自家消費で計測することができ、導入側は一般送配電事業者から購入するよりも安価でクリーンな電力を利用できるという。新出光電力事業部電力事業課では「同プランでは経済的メリットと環境面の両立が可能となり、SDGsへの取り組みに貢献できる。現在は法人向け主体だが、ゆくゆくは一般家庭向けにも事業を拡大し、化石燃料を使用しない再エネ電源の創出、社会全体のCO2削減に貢献していきたい」と話している。
同社は1926(大正15)年3月創業、55年3月設立。資本金1億円。従業員375人。SSの展開をはじめ、産業用大口需要家向けの燃料直売など九州の石油販売業で売上高トップ、九州有数のエネルギー商社。2019年3月期の売上高は2523億円。08年に創業100周年に向けたプロジェクトを立ち上げ、石油事業を維持しながら非石油事業の拡大を図る事業構造改革に取り組み、現在は石油、自動車、電力、オフィス、食と暮らし、不動産の6つの事業での成長を図っている。電力事業では高圧電力小売り事業の累計実績が昨年9月で3400件を超え、今年4月には「電力事業部」を新設し、さらに強化している。

2020年6月23日発行