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再生リンの有効活用で国土交通大臣賞を受賞 福岡市、JA全農ふくれん


週刊経済2023年9月20日発行号

エコ肥料を製品化

福岡市とJA全農ふくれんは9月8日、下水中から回収した再生リンを肥料に活用する取り組みで国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」イノベーション部門を受賞した。
1996年に博多湾の環境保全のため、和白水処理センターで下水中のリンを回収する取り組みを開始。2022年の設備更新により回収量が増加したことを機に、県内JAグループの堆肥と再生リンを配合したエコ肥料「e・green(イーグリーン)」を開発、製品化した。販売が始まっってから今年の9月までで異例の約1千トンを販売している。
肥料の原料となるリン酸はそのほとんどを輸入に依存しており、中国の輸出規制などを理由に2021年から高騰が続いていた。今回開発した肥料は福岡市の再生リンを使用しているため従来の20%〜30%安く購入ができ、肥料の価格高騰対策につながっている。業務用には栽培する作物に応じて配合が異なる4種類、一般向けには小袋で野菜用と花用の2種類を展開しており、一般向けの小袋商品は福岡市の福祉事業所が梱包から出荷までの作業を担い、福祉との連携にも取り組んでいる。
2008年に創設された同賞は、イノベーション部門、防災・減災部門、アセットマネジメント部門、広報・教育部門の4部門で構成され、グランプリが選ばれる。今年は11件が受賞した。今回受賞したイノベーション部門は現場における創意工夫や新技術の活用などの取り組みに授与される。
JA全農ふくれんでは「これからも安全な肥料の安定的な供給に努めていく」と話している。