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公示地価、商業地上昇率4・1%で全国1位 国土交通省


週刊経済2022年5月3日・10日発行合併号

上昇率1位は祇園町の新駅付近

国土交通省は3月22日、今年1月1日時点の公示地価を発表。福岡県の地価上昇率は、商業地が全国1位、住宅地が全国2位だった。
県内51市町、933地点が標準地として設定されており、全用途の地価は前年の1・9%から3・5%に拡大し、8年連続の上昇となった。特に福岡市近郊の交通利便性に優れた市町では住宅地、商業地ともに上昇は拡大した。
住宅地は同1・5%から3・2%の拡大となり、これも8年連続の上昇。福岡市、新宮町、粕屋町が10年連続、筑後市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市が9年連続の上昇となった。また、北九州市は2年ぶりに上昇に転じ、直方市は92年以来、30年ぶりの上昇となった。最高値は40年連続で福岡市中央区1丁目13区133番となり、1㎡87万円だった。上昇率1位は福岡市博多区山王1丁目84番で1㎡26万9千円、上昇率は17%だった。
一方、商業地は同2・4%から4・1%に拡大し、7年連続の上昇。福岡市は同6・6%から9・4%に拡大し、10年連続の上昇となり市内全域で伸び率が高く、福岡市東区は同7・5%から11・5%に拡大したほか、博多区は同8・8%から11・0%に拡大した。そのほか、筑紫野市、春日市、大野城市など福岡市近郊の伸びが目覚ましかった。最高値は新・福岡ビルの建設地である福岡市中央区天神1丁目96番1外で、1㎡1100万円だった。上昇率1位は福岡市博多区祇園町355番1の「博多祇園プラザビル」で1㎡210万円、上昇率は18%。全国の変動率上位順位でも3位に入った。来年3月に開業予定の新駅「櫛田神社前駅」の近くで、新たな人流を見据えた投資の動きを反映したと見られる。一方、工業地は同3・9%から6・2%に拡大し、6年連続の上昇。福岡市、筑紫野市、大野城市、志免町などで10%以上の上昇が見られた。
地価の評価を担当した日本不動産研究所の高田卓巳次長は、「福岡市近郊は住宅地、商業地ともに安定的な上昇基調が続いている。中でも天神ビッグバンや博多コネクティッド、七隈線延伸開業など、市のビッグプロジェクトに関わる一部の地点で、地価上昇の動きが目立っている」とする一方、「天神・博多の都心部でも一貫して投資が過熱しているわけではなく、投資採算性の面から冷静な見方も広がりつつある。割高感が出てきた天神中心部や博多駅前では地価が横ばいになっているほか、『超一等地』以外に目を向けると、リーシングに苦戦する向きもあると聞く」と指摘。再開発に沸く市都心部でも、「上昇一辺倒」ではないという側面を示した。