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倉富新会長、「交通事業者の視点で付加価値を」 九州経済連合会


週刊経済2021年10月26日発行

「表紙の人」インタビュー抜粋

一般社団法人九州経済連合会(福岡市中央区渡辺通)の新会長に就任した倉富純男西日本鉄道代表取締役会長は、本誌11月号「表紙の人」のインタビューに応え、就任の抱負やコロナ禍への対応などについて話した。以下、インタビューを抜粋。
―6月7日に九州経済連合会の会長に就任した。
倉富 就任から4カ月ほどの間、九経連の会長という立場で会員企業へのご挨拶や会合への出席などで九州各県を訪ねて回ったが、改めて九州という地域が多くの人に愛されているということ、そして「九州を元気にしたい」という熱い思いは県境の別なく共通していることを再認識した。一致団結して九州をよくしていこうという多くの思いに触れ、一層この職責と向き合う上での使命感を強くした。
―新会長としての抱負は。
倉富 九経連は今年で60周年を迎えたが、過去の先輩方が脈々と築き上げてきたネットワークやノウハウなどの土台は非常に大きい。この土台をしっかり引き継ぎ、これからの活動に生かしていくことが、私に課された重要な責務。特に、直近まで麻生泰名誉会長が浸透させてきた九経連のマインド、分析や評論だけに留まらず「実際に動いていく」という攻めの姿勢は、今後も大いに引き継いでいきたい。その上で、私が培ってきた交通事業者としての視点から、少しでも九経連に新たな付加価値を加えていくことができればと考えている。
―具体的な重点方針等は。
倉富 5月に60周年記念事業の一環で、2030年の九州のありたい姿と、それを実現するための課題やアクションをまとめた「九州将来ビジョン2030」を発表した。「共生・共感・共創アイランド九州」をテーマに、「新たな時代の成長エンジン」「心の豊かさを成長につなぐ幸せコミュニティ」「自立型広域連携アイランド」という三つのありたい姿を示した上で、その実現に向けて取り組むべき10の課題と具体的活動を掲げており、今後はこれを3年ごとの中期事業計画に落とし込んで具体的な活動に反映していくことになる。私も会長に就任してから改めて勉強したが、しっかりと専門家などのご意見を通じて九州の特性や課題を把握し、目指すべき目標と具体的なアクションが示されており、大変よく練られたビジョンだと感心した。
―9月末に、「10月1日以降の会員活動(九経連主催の会合等)の対応方針」を発表した。この中で、政府が示す行動緩和よりも早く、経済活動を再開していくことが大切だと訴えている。
倉富 政府も膨大な情報を整理して方針を決めなくてはいけないので、行動緩和を実行に移すまでに時間がかかるのは仕方がない。だからこそ感染者が減少している今、できるところから民間が率先して経済を動かすモデルを示すことが、経済団体の役割だと考えた。
今回の方針では活動基準として「接種証明を活用し、経済活動活性化を」というテーマを据えた。具体的には、国のステージ3相当地域等でのセミナーや会合については、当該区域の会員が県をまたぐ移動により参加する場合、ワクチン接種2回完了の接種証明、または陰性判定証明を受付等で確認してから参加するよう、基準を定めた。 飲食等を含む交流会でも、接種証明等を確認し、当該参加者のみで実施できることとした。また、国のステージ2以下に相当する地域では、セミナー・会合、交流会の実施にあたり、接種証明等の確認は原則不要としているが、ステージ3相当の地域から参加する場合は、接種証明等を確認することとしている。いずれも国や県からの強い自粛要請などが出ていないことを前提としている。
―九経連の会員企業だけでなく、多くの地元企業等にとっても会合を再開する上での指標になりそうだ。
倉富 そうなれば嬉しい。今はとにかく、感染防止対策を行いながら経済を動かしていくことこそが肝要。我々がモデルとなることで、国が行動緩和に向けた方針、政策を打ち出していく上での試金石の役割を担っていければと考えている。